第5話

 洞窟から出た後、彼女はお弁当箱よりは一回り大きいぐらいの、真っ白な箱を渡してきた。

 即座に開けようとしたが、彼女に止められたような気がした。

 本当に止められたのかなんて知る由もない。

 ただ、俺は後悔することになる。

 彼女はどんな表情をしていたか、写真を撮って確認すれば良かった、と。




 家に帰り、一息つく。

 彼女に渡された白い箱を見つめる。

 何か、プレゼントかもしれない。少し高揚しながら箱を開ける。





 中には、カメラが入っていた。

 それも、俺が持っている物と全く同じだった。



 違う点といえば、そのカメラは新品同様に綺麗だったことだ。

 使ってくれ、ということなんだろうか。

 部屋のテレビをつけ、その画面を撮影してみた。

 同じ機種のはずだが、俺のカメラより少しだけ鮮明に撮れた。


 ん?


 今撮影したばかりだというのに、既に別の写真が保存されていた。

 彼女が撮ったのか?

 不意に興味が湧いてきた。なので、失礼ながら拝見させて頂くことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る