第4話

 森から帰宅。


 彼女から貰った花束を、丁寧に花瓶にさす。

 撮ってきた写真を整理し、休憩。

 読書でもしようかと自室へ向かった。


 昔読んだ本を読み返そうと思い、押し入れを漁る。

 その本は、あるはずの場所に無かった。


 …最近、こういうことが多発する。


 あの森を見つけた頃からだろうか。身の周りの物が無くなることがよくある。

 盗まれているわけではないはず。物だけが忽然と消えるように無くなっているのだ。

 だが、あの森で撮ってきた写真。これらだけは無くなっていない。


 急にやる気を無くした。

 家にあった食材で適当な物を作って食べ、その日は寝た。





 後日。


 再び森に向かう。例の湖を眺めていると、彼女がやってきた。

 今日はカメラで確認せずともわかった。

 彼女は、頭に花かんむりをつけていたからだ。

 彼女は、というか花かんむりは、森の奥へ奥へと進んでいった。俺も着いていった。


 10分程歩くと、小さな洞窟が見えてきた。

 彼女はいつの間にか、懐中電灯を手にしていた。

 一緒に洞窟の中へはいっていった。



 いわゆる、鍾乳洞というやつだった。

 至るところから地下水が湧き出し、空気はひんやりしていた。

 歩きながら天井を眺める。つららのように鍾乳石ができていて、そこからも水が滴っていた。

 貴重な光景だ。

 少し感銘みたいなものを受け、カメラを手に取る。

 彼女の動きが止まった。写真に写りたいのだろうか。

 パ…シャリ。

 花かんむりに負けず、綺麗な笑い方をした彼女が撮影できた。


 その後も立ち止まっては写真を何枚も撮った。

 その度に、彼女は嬉しそうな顔をしていた。

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