第6話 100人の側室

 怒りと殺気でデイル王のまわりには黒いもやがかかっていた。

 長い廊下を召し使いに手を引かせながら、杖をついて歩き始める。

 いくつもの扉が規則正しく並び、所々に不気味な悪魔の石像が笑っている。どれもデイル王の命令で作らされ配置されている。逆らうものは殺されるため誰一人として彼の命令に背くものはいない。

 召し使いが、規則正しく並ぶ扉のある場所で立ち止まり促す。デイル王は荒々しく扉を開ける。なかには若い側室がいて、彼に気がつくと青ざめた顔をして立ち上がった。

 「私の子を身ごもるのだ。子を生み増やせ。」

 側室は、デイル王の怒りや黒いもやを感じとると、顔に血の気がなくなり白目を向いてその場に倒れる。彼は気にすることもなくベッドに倒れた側室の服を脱がせ始めた。

 扉の外で待機している召し使いは、両手で顔を覆い下を向いてため息をついた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る