第5話 第一隊長帰還

  黒い雲が空一面を覆うデイル王の城では、ジルが第一隊長の帰還をいち早く報告したところだった。

 「まもなく第一隊長が帰還します。」

 デイル王はジルに尋ねる。

 「…それで光の力を持つ男児は死んだのか?」

 ジルは言葉を詰まらせながら困った表情を浮かべおろおろとするばかりだった。長く伸び痩せ細った指がガタガタと震えている。

 「…まだ、まだ生きております。」

 目をキョロキョロ動かし、緊張のあまり冷や汗も出ている。

 「まだ生きているだと?第一隊長が殺しに行ったのではないのか?なぜ、まだ生きているんだ。そんなことがあっては絶対にならん。奴は何をしに東へ行ったのだ!」

  デイル王は怒りで叫びながらテーブルの上に並ぶカップや料理の乗った食器を床に叩きつけた。

 側にいた側室はその様子を見て恐怖のあまりその場で失神し、周りの者に両腕と両足をもたれ別の部屋へ運ばれて行く。

 ジルはますます青ざめデイル王の怒りがおさまるまでカーテンの中に隠れている。

 そこへ第一隊長がデイル王の前に来た。

 「只今もどり!!うわあああ!!」

 デイル王が手を伸ばすと第一隊長は壁まで吹き飛ばされ磔の状態で空中に浮かんだ。

 「おまえは任務を全うできなかった。」

 第一隊長は震えながら目を見開き何かを言おうとしているが言葉が出ない。

 デイル王の手首が下を向くと同時に磔にされた第一隊長の首が折れて床にどさりと落ちた。

 ジルは黒いカーテンに隠れたままガタガタと肩を震わせ目を充血させている。

 

 

 

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