第4話 あなたってほんと、、、、、
サレハが戦死してから4日後の朝、アカネのクリっとした愛らしい目は、涙を流し続けたせいでしわしわになっていた。
失意のどん底にいる彼女宛に小さな小包が届く。
それはラフルクルアーン国 厚生省 遺品整理課からだった。
添え状には
「ラフルクルアーン国 機甲軍 第442爆撃戦闘団 サレハ 中尉 から戦死確定の後、アカネ様に送るようにと登録されています。」
と事務的に書かれていた。
包をあけると中にはサレハの音楽プレーヤーが入っていた。
サレハが聴こうとする度、「レトロ」と茶化したあの音楽プレーヤーだ。
アカネはしばらくの間、それを抱きしめた。
彼がお気に入りだった「N-JT」を聴こうとプレーヤーの電源ボタンを押す。
だがうんともすんともいわない。
「バッテリー、、、かな?」
アカネは呟くとバッテリーカバーを開けた。
バッテリーの間に小さく折られた手紙が入っていた。
アカネは不思議に思い手に取った。
手紙にはこう書かれていた。
「愛するアカネへ
僕は君とした【危なくなったらすぐ逃げる】って約束を守れそうにない。
近い内に軍は起死回生の反撃に出る。皆、聖戦だって言ってるけど、片道切符で死地へ赴かなければならないだろう。この手紙を君が読んでるって事は、僕はもう生きてはいない。
留学して不安だった僕に声をかけてくれてありがとう。
僕のパートナーになってくれてありがとう。
君ともう一度、優しいキスをしたかった。
僕が居なくなっても強く生きてほしい。いつまでも僕は君を想っているよ。
サレハ」
アカネは泣きそうになったが堪えた。
バッテリーケースを元に戻すと音楽プレーヤーの電源が灯る。
イヤホンを耳にはめ「N-JT」を流す。
「あなたには【救国の英雄】も【軍神】も似合わない。
優しい目をした、パーカーがよく似合う私の大好きな【サレハ】よ。」
寂寞のロボット戦闘団 @kamekyo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます