Conclusion(You Can Never Leave)
次に俺が目を覚ましたのは、病院のベッドの上だった。
体のあちこちに管が繋がっており、まともに身動きが取れない。それに、全身が焼けるように痛い。
俺が起きたことに気付いた看護師が、大慌てで医者を呼びに行って、俺はすぐに検査される事となった。
結果から言えば、全く問題はなかった。少し肝臓がアルコールでやられている部分はあるが、気にする事はないと言われたので、まあ大丈夫なのだろう。
その後、一週間程入院して、退院する頃には全身の痛みは全く残っていなかった。
その間に、何回か事情を聴かれたので、あのホテルの事を告げると、医者は精神疾患を疑ったのだが、専門の人と面接をさせられた結果問題ないと診断され、不承不承ながら退院を許された。
仕事にもすぐ復帰し、今では問題なく働けている。この前も新しく『
……ただ、あの日以降、俺は頻繁に夢でリンダが死んだ時の事を思い出す。
もう既に割り切ったはずなのだが、どうにも心苦しくなることが多く、仕事中も偶に思い出しては呆けてしまう事がある。
その度に上司から、休みを取れと言われるが、身体に異常がないのに休む、と言うのが気が引けたので、俺は仕事は絶対に休まなかった。
そんなある日。
「……ん? なんだ、これは……。」
仕事から帰り、家に着くと、ポストに一つ小包が入っているのに気が付いた。それが、俺は妙に気になって仕方がなかった。
別に、家に小包が届くのは別段珍しい事ではない。担当しているバンドの新作のデモが送られてくる時は、必ず小包で届くからだ。
しかし、今担当しているバンドで新作を出す予定はない。ならば、何故小包が……。
一瞬、売り込みに来た新人かとも思ったが、そういったことは俺が務めている会社ではほとんど事例がない。ゼロではないが、圧倒的に確立が低いのだ。
俺は、そわそわしながらその小包を取り、家に入ってさっそく開封した。
そこに入っていたのは、一つのネームプレート。『ホテル・イリュージョン』という綺麗なロゴが右上に描かれ、中央には『リンダ・ロレイス』の名。
間違いない、あの時のものだ。
「…………どういうことだ。」
やはりあれは現実だったのか。それとも誰か俺の証言を聞いていた者のいたずらか。
考えても答えは出ない。
結局、考える事をやめて、ネームプレートは上着のポケットにねじ込み、夕飯を食べ、風呂に入って、そのまま寝た。
その日の夢にも、相変わらずリンダが出て来た。
しかし、今回の夢は、これまでとは一つだけ、違う事があった。
――俺も、後を追って死んでいた。
Welcome to the Hotel Illusion 22世紀の精神異常者 @seag01500319
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