もしも消失点の先の風景なんて、この世になかったとしたら。

あらゆる景色、言葉、感情、感覚——つまりは経験が、折り重なってひしめき合って自分と言うものを作っていて、いっそ混ぜて「清濁併せ呑み、私は私になった」と言い切ってしまえればなんら苦痛を伴わず生きてけると言うのにどこか期待している。未来にどこか期待している。絶望すれば楽なのに。或いは苦楽の鮮度と彩度を適当に絆して「合わせてゼロ」と言ってしまえるほどにポジティヴバカ野郎に成り下がってしまえればとても楽なのに。今もなお、その苦心と楽観をつまびらかにして観測している。それが苦しみの源流であることも、ちゃんと気付いているはずなのに。
誰よりも自分が、自分に「大人になりなさい」と言っている。充分過ぎるほどに大人。されど幼子より幼けない心。やわらかい精神で、誰も傷つけずに生きていけたらいいな。

そんなことを思いました。この詩を読んだときに溢れ出た言葉の原液。そのままレビュー本文とさせていただきます。