第3話 謎の封印式 七芒星

何やかんやでエリート魔術学校に入る事になった孝。

嫌々だが魔法の師も出来これから新しい技をどんどん教えてもらえる。

はずが…

「うひゃー!女子校生の水泳部はたまらんの〜エロイの〜」

来週から入る学校のプールで覗きをしている岩井狼馬。

「コラァ!エローマ先生よ!技を教えてくれるんじゃないのかっ!覗きしてんじゃねぇよ!!」

相変わらずこのスケベ師匠は覗きばっかりしているのだ。

「うるさいな、今お楽しみの真っ最中だ。休憩までまてよ!そしたら教えてやる」

「この野郎💢よーし見てろよ!」

孝はカバンからメガホンを取り出した。

「あーあー」

「ん?」

「皆さんここに覗きがいるぞ!」

「な、馬鹿!!」

嫌ぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!

プールにいた女子生徒達は逃げ出した。

「あがががががが!馬鹿たれピチピチギャルが逃げたじゃないか!!」

「うっせぇよエロ天王!」

「この馬鹿弟子が師匠のお楽しみを邪魔するとはいい度胸じゃないか!」

「何がお楽しみだ!ただ女子水泳部を覗いてただけじゃないか!このスケベ!」

「なんだと!」

2人が言い争いしていると周りに武器を持った女子生徒達がちらほら見え始め孝達がいるプールの側まで来た。

「ヤバイ逃げるぞ!」

「え?」

狼馬はそう言うと孝を抱えて飛び上がり電信柱を登り飛び出し屋根をつたってその場を逃げた。

:

「よ〜し技を教えてやるか〜はぁ〜」

「ため息吐きたいのはこっちなんすけど…」

殺風景な林の中へ逃げてきたのだ。

「まずはお前の魔力量をチェックしたい」

「え?魔力量?」

「馬鹿かお前は魔力量によっては使える魔術が違うから調べるんだよ」

「あ、そう…」

「とりあえず魔力量を調べるから魔力をひねり出してみろ」

「それが出来たら落ちこぼれ呼ばわりされてないよ」

全くこのガキは初歩も出来ないのかよ…普通は魔力の質量と色で大体の事が分かるんだがな…どんだけ才能ないんだ?

「もういいわかった。俺が測るから上半身脱いでそこ座れ」

「まさかなんかすんのか!?キショイ」

「馬鹿たれ!男になんか興味ないわ!いいから座れや!」

「わ、わかったよ」

孝は上半身裸になり地面に座り込む。

「じゃあ行くぞ!」

「へんな事すんなよ」

「馬鹿たれ!」

ばちん

「いってえな…」

「いいから静かにしてろ!」

「へーい…」

孝はそう言うと地面にあぐらを組み座る。

狼馬は右手の手のひらに魔法陣を刻むと孝の背中に当てた。

すると背中に何やらプレートみたいな物が浮かび上がる。

これが魔力測定術の基板だ。

「ん?何だ?」

「どうしたんだエローマ先生?」

「いや何でもない。少し黙ってろ」

「う、うん…」

ん?これは?

孝の背中に何か模様が浮かび上がる。

それは角が上下の四角形に正方形が中心にある7角の星型の魔法陣だった。

その周りに水金地火木土天海と漢字で書かれ中心に封の文字が浮かび上がる。

(何だこりゃ?封印術か!?こりゃ?こんなの見た事ないぞ…)

六芒星…いやこれは七芒星か。

七つに分けて封印式を組んでやがる…こんな大掛かりな封印術を何でこんなガキに??

しかもこれは人の手で組まれたもんじゃねぇ。

「先生?先生。何やってんだよ?まだかよ?」

「もう少しだ我慢しろ」

人の手じゃないならこの封印式は一体何だ??まさか、封印式を施されて産まれた存在??

(だとしたら、どんな力がこの中に)

狼馬は調べるうちにある一点に気がついた。

なるほどね、この封印式の水と天が魔術回路を止めてやがる。こいつの魔力の通り道をこの封印が塞いでいたんだな。

(これじゃ魔力を使えないはずだわ)

原因が分かればなんとかなるかもな。

しかしこの封印式は未知数だ…解くのは多分無理だ。だが、鍵穴を馬鹿にする事は出来る筈だ。この水と天はおそらく水と風属性だ。この個所に俺のオリジナル解除法を試してみるか。

狼馬はそう言って右に魔力を集めると水色魔力は氷をはりパチパチとエネルギーを出し狼の形になった。

「坊主ちょい我慢しろよ!」

「え?何する気に!?」

孝はそう言って両手を前にクロスし胸を隠す。

「解除魔法 氷狼剛解牙(ひゅうろうかいが)!」

「いってーーーーーー!!」

狼馬は狼の形にしたエネルギーを封印術の一部に噛みつかせた。

すると封印の一部が弾け飛び水と天の文字は消えた。この技は本来は強固なバリアや封印を無理やり壊す魔術だ。属性が二つを合わせた氷の為いける思いぶつけて封印式の一部を無理やり壊したのだ。

「よーし上手くいった!」

「いってて…何すんだよ!」

「なーに軽くマッサージしただけだよ」

「なんだよそれ…」

これで魔力はそこそこ使える筈だ。

「よし坊主。もう一回自分でやってみな」

「え、何で?調べたんじゃないのかよ?」

「何事も努力だ。さあやってみ」

「出来るわけないのに…」

孝は言われた通り体から自分の魔力を引き出してみる。

確か体にオーラを纏うイメージだったよな…

孝の身体から銀色の魔力が溢れ出してきた。

(ん?銀色だと!?)

しかも何だこの質量!?こじ開けた穴からほんの少し漏れ出しただけでこの質量だと!?

これは凄い。少量を使うだけでBランク全て賄えるぞ!もっと大量に使えばどれだけの力が…

(こりゃ凄い金の…いや銀の卵だ。これなら下手な術よりもっと上の軍用魔法を扱える)

「たく…上手く出来ないや」

「いやもう十分だ」

「そう?」

「よし!坊主今から度肝を抜かす技を教えてやる!」

「度肝を抜かず技!」

「ああ!」

その方がデカイ力を減らしやすいからな。

「いいか坊主!」

「え?」

「この技はやがてくる魔術祭天祭にかならず役に立つはずだ」

「ま、魔術祭天祭?」

「学校中の奴があつまり実力を競う大会だ。勝ち抜く為にお前には数々の技を伝授する」

「ちょ、待ってよ。そんなデカイ大会に俺が出て勝てる訳ないだろ!」

「勝つ為に技を教えるんだよ」

「出来る保証があんのかよ?」

あの異常な質量の魔力をみりゃそう思うんだよ。この馬鹿は気づいてもいないがな。

「俺は四天王だ。任せとけよ!」

「だから心配なんだよ…」

「こいつめ!」

狼馬は孝を捕まえて頭をぐりぐりする。

「いてて!辞めろよ先生!つか技教えてくれんだろ!」

「そうだったな。じゃあまずは初歩を教えてやろう」

「初歩?まさかエロい魔法じゃないよな」

「そんなのあるか」

透視魔法はあるがな〜んふふアレはたまらん。

「で、何を教えてくれんの?」

まずは俺と同じ氷の魔法だ」

「氷?」

「そうだ、まずは初歩の瞬間冷凍だ」

「瞬間冷凍?」

「そうだ」

瞬間冷凍とはその名の通り相手を瞬時に凍らせる氷魔法の初歩。だが軍用魔法での初歩だ。本来の氷魔法の初歩はまずは空気中の水分を凍らせる所から始めて慣らしていきだんだん氷を大きくしていくのだが。

この軍用魔法の氷魔術初歩は触れた個所に氷点下まで下げた魔力をぶつけて一瞬で氷漬けにするのだ。

「なんか凄いな。早く教えてよ!」

「よし見てろよ!」

狼馬は右手平に魔力を貯めた。

「まず魔力を利き腕に貯め、次に頭の中で術式を組む呪文を連想し組み上げる。」

狼馬の手の平に氷と書かれた文字を中心に雪の結晶の形に刻まれた魔法陣が浮かび上がる。

「そしてこの力を標的めがけて放つ」

狼馬が地面に手を当てると周りの木々が一瞬で凍りついた。

「うおー!すげぇ!!」

「これはあくまでも基礎だ。だがこの基礎を極めればこんな事も出来る!」

狼馬の手のひらから氷柱が何個も飛び出し木に刺さる。

「今のは空気中の水分を凍らせて氷柱状にして魔力で飛ばしたんだ」

「アレ俺にも出来るの!?」

「そのための特訓だ。この基礎をマスターしたらどんな技も会得できるはずだ」

「よーし!やってみるよ!」

孝は自身の魔力を手に集めた。

「最初は簡単に氷の塊を作ってみろ。まずは魔力を氷に変えるんだ。ドライアイスを握ってるイメージで冷気を感じたら頭の中で術式を構築。呪文はとりあえず「氷よ零度集まり具現せよ」でやってみろ」

「了解!」

孝は言われた通りまず魔力を手に集め、次にドライアイスをイメージし魔力が霧状の姿に変わるのを感じると言われた呪文を頭の中で連想すると手の平に六角の陣と真ん中に氷の文字が浮かぶ。

「今だ!手の平に氷の塊を作れ!そして呪文だ」

「氷魔法 瞬間冷凍!」

孝はそういうと手のひらが輝く。

ぽちゃん

へ…ぽちゃん??

手の平から飛び出たのは氷の塊ではなく…

「な、何だこりゃ…?」

むにゅむにゅの氷でも水でもない物体だ。

これは…一体…

(す…スライム…。コイツ単純に才能がマジでないんかい…)

「お前…やっぱ才能ないじゃんかっ!!なんで氷じゃなくてスライムができるんだよっ!!」

「知るかよっ!俺だってわかんねぇよ!!」

「ふんだ!単純にお前が下手なだけだじゃないか!このアホ弟子が!!」

「うるさいな!好きでこんなんだしたんじゃねーよ!初めてなんだからしょうがないだろ!!」

「本番はそれで済まされないんだよ。練習も本番同様に出来なきゃやってる意味がないわ!」

「覗きばっかしてるアンタに言われたがないわ!このエローマ!」

「「ぐぐぐぐ!」」

互いににらみ合い。

「ちっ!もう一回やってみろやっ!!」

「オウ!!」

そんな感じでスタートした初めての魔術修行。しかしこんな調子で本当に大丈夫なのか??

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ドスケベ狼と落ちこぼれ魔術見習い 桐生連 @yusuke0907

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