文化祭の準備中、ばったり出会った主人公とヒロイン。
次の瞬間、二人は軽快なステップを踏み始める。
左、右、左、左、フェイントを入れ、また左。
初対面のはずなのに、なぜか息はぴったり!
それは、UFOを召喚するための儀式だった。
赤トンボ型宇宙人による地球侵略。
サイドステップでアーケードを死守せよ!
……はい。途中からデタラメを書きました。
怒られそうなので、ここからは本当のことを書きます。
これは「ヒロインがUFOに連れ去られる選択肢がある」少し不思議なお話です。
この手のジャンルは大好物! 飛びつくように読ませていただきました。なぜ今まで読んでなかったんだ!
二人がステップを踏むシーンはまさに名シーン!
これ、ドラマ化かアニメ化したら絶対に面白いやつ!
小説的なことに言及するのなら、物語の構成がはちゃめちゃに良いです!
特に、男子生徒の目線から入ることで大成功している作品だと思います。2話で視点が切り替わるのもうまい。
1話で明かされる驚きの事実。
2話で起こる不思議な出来事。
そして、3話からの熱い展開!
明かされるサイドステップの真実。
試される愛の力。
果たして二人はバッドエンドを回避できるのか!?
青春。それは見るもの感じるもの全てが新鮮で、何もかもに全力で打ち込めた人間にとって最も輝ける時代の一つ。
本作ではそんな高校生の心もちがリアルに描かれており、タイムリープという非現実的な現象をテーマに高校生の初々しさや不器用ながらも何事にも全力で取り組む姿勢がありありと描写されています。
SFとして完成度の高い作品は数多くありますが、人間関係やその心情、人間模様を上手く描写できた作品はなかなかお目にかかれないもの。本作はそんな稀有で優れた作品の一つです。
果たしてタイムリープという奇妙な現象で結ばれた二人の運命は如何に………。
短編ながらも「君の名は」を彷彿とさせる若々しさ満点の作品です!
思考と行動が同じ、歩と美樹。
文化祭の準備中に鉢合わせた二人は、左右へ避けようとして同じ行動を延々と繰り返し……。
わたしたちは常に何かに背中を押されている。
行動原理とは些細なことであったり、説明のつかないことであったり、けれど何かが作用してその選択をしているもの。
一瞬だけ出会った人、なぜか気になる、それで理由は十分で。
この作品を読みながら、美樹が起こす奇跡と行動に、全力で応援している自分がいました。
1話目が歩の視点で描かれ、2話3話目で真相が明かされていく。
この構成がまた秀逸です。
最後は……これもまた作者様の才能に脱帽。
バッドエンドではないから、ハッピーエンド?
いえ、ハッピーエンドだけれどバッドの要素もあるというか?
いやいや、バッドだけど確信的な希望が見えるというか?
この意味は、読んだ人だけに分かるかと。^-^
素晴らしい作品をありがとうございましたー!