大方のストーリーや魅力については、ほぼ他の方のレビューで書かれてますので、そちらを参考にしてみてください。その上で、私はこちらの作品の最大の魅力ともいえる部分の紹介に、あえて挑戦したいと思います。
こちらの作品、読むと奇妙な感覚に陥ります。それは何かというと、物語の世界に触れるという感覚です。
ありきたりなことかよと思った方は、ぜひ最初のVRの世界を読んでみてください。読めばわかるかと思います。本当に『触れる』という感覚を味わうことができます。
なぜそうなるのか? おそらくですが、切れ味のある文章で巧みに感覚に関する描写を、これでもかと上手い具合に積み上げているからだと思います。ストーリーを目で追いかけながらも、脳はVRの描写によって作られた世界に浸っていく。その結果、あたかもそこにいるかのような感覚に陥るのではないかと思いました。
そうした感覚の部分を刺激された後に、一気にVRとは何かについての描写が広がっていくのですが、この内容が広がっていく様も、他にはなかなか見受けられない試行が施されており、読みごたえも十分でした。
これは、思いつきや勢いだけでは書けないと思います。十分に設定を構築したからこそ、出来上がった作品だと思います。
今は一部が終了したところですが、これからどうなっていくのか楽しみです。そうした楽しみも、ある意味ゲームを楽しむ感覚に近いのかもしれません。
ぜひ皆さまも、VRの魅力と可能性に触れてみてください!!
最後に、VGOの意味がわかった時、相変わらず作者さまは攻めてるなと思いました!!
ゲーマーの主人公は、ピザの配達の仕事をしながらも、ゲームに夢中だった。それは仕事中にでもゲームのことを考えてしまうほどの、ゲーム中毒だった。そんな主人公にも、彼女がいた。うどん屋の娘で、主人公と同じくゲーマーだ。ただし彼女がやっていたのは、猫を集めるというかわいらしいゲームだった。一方主人公がやり混んでいたゲームは塔がそびえる世界での戦闘系のVRゲームだった。実は彼女がやっていたゲームも、主人公がやっていたゲームも、キャッスルフロンティアKK社が運営元だった。
主人公はその会社に新入社員として入社する。主人公はこの会社の上司に、5万人に1人という「感覚超越者=ヴァーチュアス・ゴドレス」であると言われ、期待されっる。主人公も、キャッスルフロンティアKKのVRゲームは、最も人の生態に近いゲームではないかと考えていた。現実でピザの宅配をやりながら、それなりに彼女がいる。そんな満たされながらも、どこか不安定で不安な現実よりも、会社で働く方が生きているという実感があった。この会社で働くのは、主に脳である。体は点滴や栄養剤のチューブにつながれ、管理されてる。主人公が会社の説明を受けながら働こうとしていた矢先、ハッカーに会社が狙われ、車内に多数の蜘蛛が出現し、戦闘となり、社員の一人が主人公の目の前で重傷を負う。
本格的に働き始め、主人公は社内にゲームと同じ塔が見える気がしてならない。上司は否定するが、ある社員は肯定する。そんな中、主人公は彼女に会社の黙秘事項を話してしまい、彼女も連れて会社に来るように命じられる。
果たして、浮かび上がる塔の正体は?
主人公とその彼女の行き着く先は?
人間の実感をもたらしているのは、脳だけなのか? では、脳さえあれば人は自身の体さえいらなくなってしまうのか? それならば、水槽に脳だけを入れて生かしてあるのとどこが違うのだろうか。
ゲームだけではない、人間の本質を問い直す一作。
是非、御一読下さい。
ゲーマーの主人公が、自分がはまっているゲームの運営会社の面接に挑む。その会社で見たものは――。
キレのあるスタイリッシュな文章とテンポの良い展開で、するっと物語世界に入り込んでしまう。そしてそこにあるのは単なる「ゲーム世界の描写」を超えた、五感がまるごと物語の中に没入するような感覚です。
今、この場でその世界を見て、触れているような。
印象的な序盤もあり、気がついたらどんどん読み進めていました。
また、主人公の優利が現実の世界で、仕事や彼女のことで、どうにもならないもどかしさに悩む姿がきめ細やかに描かれており、つい後ろから応援したくなります。
他の登場人物たちも性格に深みがあり、単純に割り切れないところがあり、魅力的です。
個人的に優利の彼女、胡桃ちゃんがかわいくて好き。
謎多き世界。まだまだ隠されていることがたくさんありそうです。
これからの展開が楽しみでなりません。
ゲームを主体とした、SF作品で、キャラクターの活躍が見どころだ。
主人公、暁月優利(あかつき・ひろき)くんは、もう二十歳だと言うのに、ゲーオタとまで呼ばれる。
しっかりとした仕事にもつかずに、ゲームをしていたい位だ。
『ヴァーチュアス・ゴドレス・オンライン』、略して『VGO』と呼ばれるゲームにはまっている。
それは、流行りのVRMMOの形をとっていながら、食欲、排泄欲、その他太陽まであり、現実の世界との境目は髪の毛一本程あるか否かだ。
中でも注目したいのが、脳に関するゲームとの関わりだ。
又、バグの多い描写のところは、緊迫した作中を和ませてくれる。
そして、忘れてはならないのが、ヒロインだ。
白幡胡桃(しろはた・くるみ)さんは、一つ下の十九歳。
優利には勿体ない程の性格もいい娘だ。
私なら、嫁にしたい。
ここが、ただのゲーオタと一線を引くところなのか。
その他、魅力的なキャラクター満載だが、ここで紹介してしまうと、面白味を奪ってしまう。
『ヴァーチュアス・ゴドレス#VGO《パラリアル・Hero’s・Journey》』――SF設定もしっかりとしていて、どこかノスタルジーも感じる秀逸な作品、まだ中盤だが、目を離せない。
ドイツ語ができると、ちょっぴり楽しいのも一味加えたい。
是非、ご一読ください。
注:繰り返し読んでも楽しめます。
バーチャルリアリティを突き詰めたSF作品、と書くと、敷居が高そうに見えるかもしれませんが、そんなことはありません。
まさにゲーム世界に飛び込んだ感覚を味わうことのできる作品です。
主人公の優利のゲーマーっぷり、ダメ人間ともいえる依存度ではありますが、どこか意味潔さを感じました。
おそらく、誰もがやろうとしてなかなかできない、自分に正直なキャラだからだと思います。
だからといって、ゲーム最優先がいいと思っているわけではなく、ヒロイン・胡桃も大事にしたいと、葛藤している部分もあるところが、人間らしいですね。
まだ物語序盤のため、主人公のことを述べさせていただきましたが、パラリアルワールドの奥深くへ主人公をいざなうであろう計麿をはじめとした個性的なキャラクターも続々と登場しています。
これからどのようにかかわり、優利がどこへと進み、どんな冒険をしていくのか、とても楽しみです!
ゲームをほとんどやらない人でも、しっかりと情景を思い浮かべることができ、どこまでが専門用語で、どこからが作者様の世界の用語なのか、判別できないほどするりと浸透する世界観は、まさに作中のゲーム「VGO」と同じ没入型といえるでしょう。
一重に、作者様の世界構築力と筆力の高さゆえだと感じました。
一読の価値ありです!
今後の更新も楽しみに待っております!