成仏
護衛達に褒められた守り鏡、嬉しそうに輝きながらふわふわと護衛達の周りを飛んでいる。
尼僧達も嬉しそうにそんな守り鏡を見つめていた。
盗賊捕縛の喜びと興奮が収まらない中、突然浮かんでいた守り鏡がピシリと割れた。守り鏡の割れた隙間からキラキラと輝く光が溢れだし、出てきた光は鏡から離れていった。光が離れた途端、鏡はボロボロと崩れ消えてしまった。
光は驚いている皆の前に浮かんだまま、力強い声で語りかける。
「コンナニハヤク タッセイデキルトハ アマデラ スゴイデス
ニソウサマタチノ オカゲデス
ミナサマニ オアイデキテ シアワセデシタ アリガトウ ゴザイマシタ」
守り鏡が善行を100達成し成仏する時が来たのだ。
皆から歓声が上がる、感動して泣いている護衛達、嬉しそうに微笑みを浮かべ両手を握りしめて良かったと呟く尼僧達。感動で泣いてしまい言葉の出ない楓に弥生。
村の方からも、守り鏡への感謝の言葉と成仏への祝福の言葉が聞こえてきた。きっと他の場所でも、助けられた者達が同じように喜ぶ光景が広がっているだろう。
蓮が嬉しそうに涙ぐんで、光に向かい気持ちを伝える。
「100の善行達成、成仏おめでとうございます。
守り鏡様と一緒に過ごした日々を私達は忘れません。
今まで私達を助けて頂いて、ありがとうございました。」
その言葉を聞くと光は最後のお別れとばかりに蓮達の周りをくるりと飛んだ。そして満月と星が輝く空に昇っていく。
光が見えなくなるまで空を見つめている皆。
「無事に成仏できて良かったです。あっという間でしたね。」
「尼寺は善行の宝庫ですからね。なんとなく、複雑な気持ちですけれど。」
「守り鏡様が成仏できて嬉しいですが、少し寂しい気持ちでもあります。」
「守り鏡様が積んできた善行。これからは私達が、守り鏡の分も頑張って行いましょ。」
光が消えた方に向かい、尼僧達は感謝の祈りを奉げていた。
目指せ 成仏 小梅カリカリ @koumekarikari
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます