月の沙漠

プラナリア

月の沙漠

砂漠の王宮 一人の姫の

誰も知らない 禁じられた恋

訪れたのは 旅の一行

白銀の髪 紫の瞳

異国からきた 一人の王子


初めてなのに 懐かしい人

言葉も通じぬ 二人なのに

瞳はいつも あなたを探し

あなたの声に 耳を澄ませる


言葉は無くて

身を寄せあえば

時は止まって

静かに満ちて


最後の夜の うたげの後で

あなたと二人 王宮を抜け


駱駝らくだに乗って 二人並んで

遥かに続く 砂の海

二つの影は 一つになって

月の沙漠を ひとすじに


先ゆくあなた 後ゆくわたし

暗闇の中 風に吹かれて

二人の白い 衣がそっと

たなびく様を ただ見つめてた


おぼろな月に 照らされた先

オアシスに咲く 幻の花

満月の夜 花開く奇跡とき

月の光に 白い花びら

二人みたいに 風に揺れてた


あなたと二人 手と手重ねて

砂丘を越えて 言葉は無くて

どこへゆくのか わからぬままに

彷徨さまよう二人を 月だけ見てた


そのまま二人

重なりあって

形を変えて

崩れ去ったら

月の沙漠で 永遠に

二人ひとつに なれたのに


遠い異国は

戦にのまれ

紫の瞳は

花と散った


涙は枯れて

こころは無くて

意味など無くて

それでも 生きて


歳を重ねて

よみがえるのは

なお鮮やかな

白銀の夢


月の沙漠を あなたと二人

手と手重ねて 離さずに


最期の時は 吐息といきをはいて

瞳閉じれば あなたに会える


月の沙漠を あなたと二人

駱駝らくだに乗って ひとすじに


砂丘を越えて 言葉は無くて

おぼろな月と 白い花


月の沙漠を はるばると


あなたと二人

手と手重ねて

永遠に



























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