ミレニアムは街の歴史についての話を続けている。正直なところ、どうでもいい。私にまったく関係のない話だ。私が興味があるのは試験の話だけだ。過去のことなんてどうでもいいのだ。私は今を生きているし、これからも生きていく。だからこそ、こうして試験を受けているのだ。成績を上げることでより良い環境を手に入れる。そしてレインに並ぶんだ。私はレインと一緒に生きていくんだ。


 しばらくして、ミレニアムの(長い)話がようやく試験の内容に触れるようになった。


『それでは次に試験の概要を説明します。試験は5科目、語学、科学、数学、歴史、の4科目と『特別科目』の5科目で判定します。特別科目とは本来学ぶことが禁止されている『禁書』の内容を扱った内容となっています。試験自体はみなさんに開示されている情報で解くことができるので安心してください。5科目500点満点による獲得点数により皆さんには『ランキング』をつけさせて頂きます。ランキングは街に住む住民全員を対象としていますが、プライバシーの観点から正確な順位の発表はご本人様以外にはいたしません。ですが大まかな順位としての『ランク』は発表させていただきます。ランクは最上位SランクからABCDEFとFランクを最下位としての7ランクです。ランクによって管理者が皆さんを差別することはありません。皆さんは平等であり我々は常に公平です。ただしランキングは皆さんの街での役割や仕事内容などを判断するときの情報として活用させて頂くことがあります』


 要するに進路に関わるということだ。はっきりとそう言えばいいのに。


 そのあと、ミレニアムの説明が終わると、目の前の机に試験内容が映し出された。


『貴方の名前は『アリス』年齢『17歳』性別『女性』居住区『東区』。この内容に間違いはありませんか?』


 一つ一つ個人情報の確認をしていく。ようやく本番だ。あとは自分の全力をぶつけるだけだ。


 私は勝つ。後悔なんて絶対にしない。


『では時刻となりましたので試験を開始してください』


 語り部の巫女の声と共に定期試験が開始された。

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