決して結ばれないと知りつつも、愛を重ねていく見えない相手とのやりとり。
高校生の主人公がふと始めたブログで見つけた気になる人は、自分が通う高校の先生でした。
つい自分のことを偽ってブログでやりとりをしていく中で、二人は惹かれあっていくのですが、自分の正体を言うことができません。
そんな主人公の頭脳戦のやり取りや、大人だと思っていた先生の意外な一面、そこに交差するリアルな人間関係。
物語の二人のブログのやりとりは、まるで誰かのSNSを覗き見しているかのような気分になってしまい、興味からついつい読み進めてしまいました。
そして、約10万字の活字達と歩いた二人の物語に、感動です。
この長い活字の旅をここまで歩いてきてよかったと今、読了感に包まれています。
ネットの中の自分と現実世界の自分、どちらも自分だけど、この2つの自分が全く変わらないって人がどれほどいるだろうか?
黒井は間違いなく違う。
ネットの中ではさらりと言える事が現実世界では恥ずかしくて言えない。ネットの中での黒井を恥ずかしくて現実世界の友達には言えない。
そんな風にして、いつしか僕は、ネットの中にもう1人の僕を生み出した。
それは悪い事ばかりではないだろうけど、そのもう1人の自分と現実世界の自分との違いに悩むこともある。
恋愛が絡めばなおさらだ。しかも、知り合いをネットで見つけて、匿名のままで仲良くなってしまったら、その人を好きになってしまったら……。
黒井もネットで仲良くなった人に背中を押されて文章を書くようになった。
冬が迫る秋の流星群が降ったあの日。『流星群が寒さを連れて来たね』たった一言のその言葉を褒めてもらい、森博嗣先生の小説を貸してくれたその子の事が黒井は好きだった。
村良 咲さんの『私が知るあなたの知らない私』を読んで黒井は、そんな事を思い出しました。
おすすめです(●´ω`●)