見事に打ち取られました!!

短編小説の良さは、いかに無駄を省くかが著者の腕の見せ所です。

無駄な背景説明や描写を削ぎ落とし、読者にストーリーそのものの面白さをストレートに伝えなければならない。かといって、切り取りすぎると臨場感が無くなり、ただのプロットになってしまう。冗長にならず、かといって、無機質にもならない、そのギリギリを狙って、書く必要がある。

それは、まるで、コースギリギリを狙って投げる、ピッチャーのようです。少し外れればボールになる。しかし、甘く入れば打たれてしまう。

この小説は、そんな、凄腕のピッチャーが投げたボールのように、読者の胸元をえぐります。

冒頭の特攻前夜のシーンから、中盤の白熱した甲子園、そして感動のラストまで、著者の投げる球に翻弄され、見事に打ち取られました!!

素晴らしい短編小説です。ぜひ、ご一読を。