第5話 あけおめ……

 正月早々、例の会議室に籠っている少女が二人いた。


「こ……このままでは腹の虫が治まらない」

「そうですわ。この憤り。どうしてくれましょう」


 ツインテールの少女が二人。

 一人は金髪を短めのツインテールでまとめているララ。

 もう一人は青みがかった銀髪を腰まで伸ばしているシュシュ。


 二人は、自分たちに対して嫌がらせをする馬鹿作者に対し、どうすれば報復できるかについて話し合っていた。


 その時、彼女たちの元へ年賀状が届いた。

 

 差出人は馬鹿作者こと暗黒星雲であった。


「新年あけましておめでとうございます

 旧年中は大変お世話になりました

 今年もどうぞよろしくお願いいたします」


「門松のイラストが入った普通の年賀状だな。シュシュ姫」

「そうですわね。ララ様」

「おや? イラストの下部に小さな記載があるぞ……」

「読んでみますね。ララ様」


 シュシュが年賀状を見つめながら、その小さい文字を読む。馬鹿作者こと暗黒星雲ならばハズキルーペがなくては読めない大きさの文字だった。


「『明けましておめでとう』を略すと『あけおめ』。今年もよろしくを略すと『ことよろ』。この二つの言葉をつなげてみよ。ただし、ひそひそと小声で話す事」


 首をかしげながら年賀はがきをじーっと見つめるシュシュ。


「うーん。『あけおめ』と『ことよろ』をつなげるのね」

「待て、シュシュ姫。それは危険だ。意味はわからんが、とにかく危険な香りがする」

「確かに。馬鹿作者からのメッセージはろくなもんじゃねえですからね。これは何か仕込んであると考えるべきでしょう」

「何が仕込んであるのだろうか?」

「わかりませんね。ここはやはり軍医のリオネ様に伺うのが筋ではないでしょうか、ララ様」


 その時、リオネが雑煮を三人分お盆に乗せて会議室へと入って来た。


「あ・け・お・め! お正月はやっぱりお雑煮よね。さあ食べましょ!」

「わっ! 美味しそう!」

「そうだな。いただこうか」

「いただきまーす!」


 三人揃って雑煮を食べる。

 その時、リオネがテーブルの上に置いてある年賀はがきを見つけた。


「あれ? これは……ぷぷぷ! 古典的なシモネタじゃないの!」

「リオネさん。これ、やっぱりシモネタだったのね」

「そうよ。シュシュ姫。シモネタです」

「どこがシモネタなんだ?」


 ララの質問に笑いながら答えるリオネ。


「これはね、日本でも東西で言い方が違う事を利用しているのよ。大体、東側では女性のアソコの事をオ〇ン〇とかマ〇コって言うけど、西側ではメ〇コとかオ〇コって言うのよ。『あけおめ』と『ことよろ』を繋げたらね。ほら(笑)」


 その瞬間、ララは顔を真っ赤に染めて激高し、シュシュは餅をのどに詰まらせたのであった。


「ちなみに、エッチそのものもオ〇コって言うわ」


 その一言で更に怒り狂うララ。


「あの大馬鹿者は絶対にぶっ飛ばす」


 そして胸につかえた餅を飲み込んだシュシュ。


「んんんん……ゴクリ。はあはあ。許しませんわ! 許しませんわ!!」


 二人の少女は新たに新年の誓いを立てたのである。

 あの馬鹿作者を絶対に許さないと!

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シモネタテロリズム……黒龍騎士団物語番外編 暗黒星雲 @darknebula

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