のんべんだらり、日常雑記まとめ

黒鉛

第1話 うんちが出てくる馬のキーホルダー

 無数存在するご当地グッズ。中にはとんでもないモノもあるのは、読んでくださっている人もご存知でしょう。


 ジンギスカンキャラメルやまりもっこり、メロン熊など、とんでもない(褒めています。褒めている……のかなあ?)所感を抱かせるグッズは数多く存在します。

 メロン熊を知らないのならば、是非一度調べて見てください。

 ご当地キャラという言葉から受ける想像を180度裏切る、リアルな造詣が産むシュールな存在感は、一見の価値がありです。マジで。



 筆者である俺が小学生の頃に家族で足蹴良く訪れていた温泉には、こうしたくだらなくて人の心を惹きつけてやまないオリジナルグッズがありました。


 それはぶにぶにとした感触の馬のキーホルダー。


 白目をむいて何かを訴える瞳、デフォルメされたかわいらしい体、お尻に空いた立派な肛門。

 そう、肛門です。

 ぽっかりと空いた*状の穴が抗えない魅力となって、”触って!触って!”と訴えて来ます。

 ひしひしと感じる威圧感に突き動かされ、そっと体を握る幼い俺。



 ぶにゅう、と、尻穴からうんちが飛び出てきたのです。



 手を放すと、うんちは馬の体内に戻って行きます。



 ……うんち、馬、尻穴。

 幼い頃を思い出してください。当時小学生低学年だった俺には抗うにはあまりにも下品で最高なキーホルダーでした。

 数分後、なけなしのお小遣いと引き換えに、俺の手にはそのキーホルダーがありました。

 これを学校にもっていけば、週明けから俺は学校の人気者間違いなし。うんちですようんち、最高に新鮮でクールでカッコいい笑いです。

 当時鼻垂れ小僧だった俺は真面目に思っていたのです。


 帰路の途中、ずっとぶにぶにと馬のキーホルダーで遊んでいました。

 寝る前もぶにぶに馬で遊び、録画していたポケモンを見ている間もぶにぶに馬のキーホルダーで遊び、日曜日は友人の家に出かけてスマブラをし……。


 日曜日夜、問題が発生します。


 遊びすぎていたせいで、馬の肛門がですね、裂けてしまったのです。

 *の形が崩れて、見るも無残、痛々しい有様になってしまいました。おなかを押すと余計に裂け口がはっきりとわかります。

 幼い俺は傷口をふさごうと思い、ボンドを手に取ったのです。

 傷にボンドを塗りたくり、これで大丈夫だと布団を被り、一夜が明けました。

 翌朝、光沢のあるかさぶたで覆われ、傷口はふさがりました。



 肛門までも塞がりました。



 おなかを押しても、硬い手ごたえと、馬の体が歪むだけ。うんちは出てきません。

 心なしか馬の白目から物悲しい視線を感じます。うんちができない俺なんて存在価値がないと言うように。


 月曜日の朝から俺は崩れ落ちました。


 学校の人気者計画も、小学生低学年にとっては高い数百円も、何もかもが水の泡。

 朝から亡くなった馬の尻穴のことを考えると、登校する足すらおぼつかない状況です。

 こうして俺と馬のキーホルダーの思い出は終わりを告げました。今思い出しても忸怩たる思いです。涙が出ますね。

 冗談です。今になって思えば、なんであんなキーホルダーに執着したかがわかりません。ただ、今でもうんちはパワーワードで面白いと思います。




 最初の話から随分汚い話になってしまいました。

 こういうだらーっと力を抜いて読めるような昔の話や、日常の覚え書き、好きな本の紹介、色々書いていくつもりです。

 メインで書いている小説の息抜きに、ですがね。


 ここまで読了おつかれさまです。ありがとうございました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

のんべんだらり、日常雑記まとめ 黒鉛 @graphium_sarpedon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ