少年と猫
名が待つ
そんなことよりチータラをくれニャア…
少年と猫が両親の帰りを待っている。
遅いなぁ。
遅いニャア。
少年は語らない。
猫も語らない。
ただ静かに世界の終わりを待っている。
朝が来た。
水道の蛇口からぽたりとしずくが落ちる。
水を張った洗面器に波紋が広がってゆく。
瞼が引き上げられて今日が始まってゆく。
よく寝たぁ。
よく寝たニャア。
部屋は静まりかえっていて、両親の帰宅した様子はない。
まだ世界は終わっていなかった。
激しく地面が揺れる。
天井から吊り下がったランプが勢いよく左右に振れる。
洗面器の水がその縁を超え溢れていく。
勿体ないなぁ。
勿体無いニャア。
一人と一匹は動じる様子はない。
世界が崩れていく音に慣れてしまっていた。
本当は、本当は両親が帰ってくるなんて期待はしていなかった。
ただ、世界が終わり始める前からそうだったから、家族だったから、待ち続けているのだ。
段々両親の存在が心から無くなっていった。
元日常をやり続けることしかできなかった。
日常へと戻る手段を待つことだけに求めていた。
救いは求めていない。
世界が終わっていくのは日常と化した。
もうきっと玄関の扉が開くことはない。
ただ静かに運命を受け入れていた。
ただ静かに終わりを待っていた……
眠いなぁ。
眠いニャア。
少年と猫 名が待つ @takumiron
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