第51話
帝国は滅んだ。
レーナ姫は帝都を占領し、帝王とその家族を滅ぼして建国を宣言した。
クルト大公殿下が皇帝となり、アロン皇国が建国されたのだ。
レーナ姫が一旦大公領に戻り、クルト皇帝陛下とサラー皇后殿下が、信頼出来る譜代貴族士族に護衛され、皇都に上り即位式を行った。
ユリア姫は譜代騎士家から婿を選び、皇室の安定を図った。
レーナ姫は父母が皇都に居を定め、姉が大公都で安全に護られている状況にして、いよいよ地方の譜代貴族士族の討伐を行った。
だが抵抗する者などいなかった。
帝国本体でさえ、あれほど惨めな滅亡をしたのだ。
自分達が抵抗出来るなどとは思っていなかった。
全員が許しを乞い降伏した。
臣従は許されず、私財の持ち出しも許されなかったが、命だけは許された。
だが貴族とその家族も陪臣達も、領民に嬲り殺しにされる者が多かった。
皇室は莫大な直轄領を手に入れた。
直ぐに公平な統治など出来ないから、最初は混乱したが、徐々に職を失った元帝国士族を雇う事で統治が進んだ。
不正や汚職が繰り返されたが、その都度大公家からの譜代家臣が討伐に派遣され、徐々に公平で安定した統治が行われるようになった。
大公家に味方した外様貴族士族家は、ほとんど加増されなかった。
その事に不満を持つ者も多かったが、アロン皇国の軍事力に口をつぐんだ。
その代わり多くの金銀と食糧が下賜され、領内の民が飢える事がなくなった。
クルト皇帝陛下の考えは、帝国の圧政で荒廃した領地を得ても、領民を飢えさせないようにするには、多くの費用が必要だというモノだった。
その点を皇国がどうしたかと言えば、帝都に蓄えられていた、帝国や帝室貴族重臣の不正財産を放出する事で補った。
また皇室直臣団を交代で大魔境に派遣して、魔獣を狩る実戦経験で身体強化を図り、同時に滋養強壮剤になる魔獣肉と素材を確保した。
そして皇室魔境騎士団と皇室魔境徒士団と言う、魔境に入って狩りをする権利を与える代わりに軍役を課す、新たな騎士団徒士団を創設した。
レーナ姫は女大公に封じられた。
皇室の故地である旧アロン大公領の全てと、それに等しい周辺領地が与えられた。
暁の騎士団員は全員貴族に叙せられた。
フィン・ユング、アローン・ワイス、テオ・メラ―の三人は侯爵に叙せられ、幹部団員は伯爵に叙せられ、一般団員も子爵に叙せられた。
レーナ姫とロイ・アームストロングの婚約は破棄された。
レーナ姫は暁の騎士団員から婿を選び、末永く幸せに暮らし、二人に統治された大公領の民も幸せに暮らしたという。
養父母に家族共々謀殺されましたが、死に戻れたので復讐します。 克全 @dokatu
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