第50話
四ノ丸の城門もあっけなく開かれた。
中には忠義の将兵もいたが、多くは自分と家族の命が大切だった。
勿論帝室に連なる貴族の家族や、悪政を行い続けた重臣とその家族は降伏などしなかった。
だが彼らにも家臣がおり、多くの使用人や奴隷を抱えていた。
そんな家臣・使用人・奴隷を裏切らせたのだ。
二カ月の工作期間があったのだ。
城門を護る将兵を寝返らせる時間もあったし、城壁を乗り越えて使用人や奴隷を懐柔する時間も十分あった。
だから攻め込むと決めた日時には、全ての城門が開かれた。
暁の騎士団員に指揮された、元奴隷の兵士が勇んで攻め込んだ。
だが殺す相手などいなかった。
貴族の家臣・使用人・奴隷の大半が寝返っていたので、彼らが確保した帝室貴族と重臣を引き取るだけだった。
彼らは直ぐに裁判にかけられ、多くの残虐な行いと不正を暴露され、情け容赦のない石打刑とされた。
レーナ軍の将兵が加わる事は許されず、裏切った家臣・使用人・奴隷に石打刑を実施させたが、よほど恨まれていたのか、帝都民に順番が回る前に死んでしまった。
だがそれだけでは済まなかった。
裏切った者の同士で告発合戦が始まったのだ。
帝室貴族や重臣貴族の大物陪臣だと、下手な貴族よりも権力を持っており、多くの犯罪に手を染めており、下級陪臣や使用人・奴隷に恨まれていたのだ。
その告発合戦は、苛烈な処罰に繋がった。
処刑の方法は犯した罪に準じたモノにされたが、刑を執行するのは今迄通り被害者が担当した。
被害者が担当するので、刑の執行は残虐なモノとなった。
だがこれにより、多くの者の溜飲が下がることになった。
四ノ丸の惨状を知った帝王とその家族は、王城内に詰めていた貴族・士族・徒士・女官・奴隷を厳選した。
裏切り者が出ないように、信用出来ない者を殺そうとした。
だがこれが謀叛を誘発することになった。
裏切る心算だった者だけではなく、最後まで帝国に忠誠を尽くそうとしていた者も、忠義を踏み躙られて激怒し、謀叛に踏み切ることになった。
三ノ丸内の王城は阿鼻叫喚の地獄絵図となった。
自暴自棄となった男達が、帝王の後宮を襲い、皇后や側室愛妾を強姦したのだ。
後宮の戦闘侍女や女官は、処刑されそうになった者もいたため、皇后や側室愛妾を護ろうとはしなかった。
極少数の忠臣は、皇后や側室愛妾を護ろうとして、その場で殺されるか一緒に強姦された後で殺された。
レーナ姫は自分の手を汚すことなく、帝王とその家族を皆殺しにする事が出来た。
だが抜け穴から逃げ出したりしていないか確認する必要がある。
しかしレーナ姫や暁の騎士団員は、帝王や帝族の顔を知らない。
だから確認はロイ等の大物貴族に任せる必要があった。
紛れもなく帝王とその家族全員が無残な死を迎えていた。
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