第15話 送られてきた物

※登場人物

亀山住職:万念寺の住職で60歳くらいの体格のいいお坊さん

鶴川影子:いじめられっ子の中学生女子・ちょっと暗い感じ

占い師:40代くらいの怪しげな男

チラシ配りの男:死神が化けた姿・占い師を操る為に近づいた)


※〇〇の部分は、無音もしくはピー音(真似されると困るので)

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※万念寺の境内を掃き掃除している住職


私はこの万念寺の住職 亀山。この寺には、いわくつきの代物が封じられている部屋がある。一番古いものは、江戸時代初期の日本人形だ。こういったいわくつきの代物を、日々のお経で鎮めるのが大事な仕事の1つである。


※郵便屋さんが現れる


おやおや。今日もいわくつきの代物が届いたようだ。誰かが誰かを呪っている念が、あの小包からビリビリ伝わってくる。


郵便屋さん

「お疲れ様です。今日の郵便は、この小包と…あとこの手紙ですね。」


亀山住職

「…これはとんでもない代物だな。郵便屋さん、この御守りを持っていてください。」

郵便屋さん

「あれ?こないだ戴いた御守りがありますよ、ほら…えぇぇ!」


※黒くなったお守りを預かる住職


亀山住職

「まぁ、色々ありますからなぁ。はっはっはっ。」


郵便屋さん

「…何かあったら、お願いします…。」


亀山住職

「はっはっはっ、心配いりませんよ。ちゃんと御守り持っていてください。」


※本堂で小包を開く住職


しかし、これはまたとんでもない代物だ。しかも、この呪物の生地…禍々しい気配がしている。一体誰が…おや?手紙が同封されているなぁ。それにしても、こんな古い呪いの呪物がどうして今さらこの世に出て来たんだ?


※手紙を読む住職からの鶴川の回想的な感じ


手紙の内容

「突然すみません。私は鶴川影子(つるかわえいこ)と言います。私は中学校でひどいいじめにあっていました。とてもつらい日々を送っていたんです。そんなある日、駅前でチラシをもらったんです。」


※怪しげな占い師からチラシをもらう鶴川(占い師の後ろにチラシ配りの男(死神人間バージョン)


占い師

「君、誰か呪い殺したいくらい憎い相手がいるね?」


影山

「…えっ?…いいえ。」


占い師

「嘘ついても分かるよw僕は、ここのビルで占いをやっているんだ。ここだけの話、本物の呪いの方法も知ってるよw話しだけでも聞いて行かない?学割で安くするよ。」


※ついて行く鶴川


私は呪いでもなんでも、いじめが無くなればそれで良かったんです。その占い師は、私に古い無気味な着物の端切れをくれました。そして、呪う相手の髪の毛と人間の〇〇を用意して、相手に対する恨みを込めればいいと言いました。私は帰宅するとすぐに、言われた通りに用意して…呪いを実行してしまったんです。


※数日後担任からクラス全員に報告がある


担任

「えー、昨日松本さんと竹井さん、梅津さんの3人が入院しました。」


男子生徒1

「知ってるー。学校帰りに3人とも事故ったんだろ?」


担任

「相手の前方不注意だそうだが、3人とも意識不明の重体だそうだ。」


※驚きながらもホッとする鶴川


正直ホッとしました。でも、家に帰ると今度は、お母さんが足を骨折して入院してしまったんです。私の呪いの成果と思うと、怖くなってどうしたらいいか分からなくなったんです。それで、占い師のところに相談に行ったのですが…


※空き家になっって解体寸前のビル


占い師が居なくなっていたんです。そこにいた人に聞いても、誰も占い師の事は知らなくて…。ネットで探していたら、この場所のことを知ったんです。お願いします。呪いを解いてください。


※手紙を読み終わると呪物を並べてお経を唱える住職


(お経っぽく聞こえる音)


ふぅ。人間のほんの少しの恨みを増幅させる呪物…。呪った方も呪われた方も不幸になる。こんなものの作り方を教えるなんて、とんでもない占い師だな。


(風が吹き、ろうそくの灯を消して暗転)


※翌日鶴川から住職に電話が入る


鶴川

「あの…鶴川です。呪いを解いてくれてありがとうございます。今朝、先生から3人の意識が戻ったって連絡があったんです。」


亀山住職

「そうですか、それは良かった。それで、あなたが会ったという占い師の事が知りたいんですが。」


鶴川

「あっ、チラシがあります。チラシ送りますね。」


※境内を掃き掃除している住職の元に郵便屋さんが来る


郵便屋さん

「ご住職さん、今日はこの手紙ですよー。」


住職

「いつも、ご苦労様です。おや、これが例のチラシか。」


郵便屋さん

「聞いてください住職さん。この間、この御守りのおかげで命拾いしたんですよー。」


住職

「どうしたんですか?」


※車に突っ込まれそうになる郵便屋さん


郵便屋さん

「3日前に車に引かれそうになったんです。」


住職

「それは災難でしたね。」


郵便屋さん

「なんでも、運転中に意識不明になったらしくて。僕は落とした御守りを拾おうとして、たまたまポストの後ろに居たんで助かったんです。この御守りのおかげですよー。」


※封筒からチラシを取り出す住職


住職

「それは良かった。あっ、そうだ郵便屋さん、この人見た事ないですかね?」


郵便屋さん

「あれ?この人ですよ!運転中に意識不明になった人!」


住職

「3日前…と言っていましたね?」


郵便屋さん

「えぇ。3日前です。」


※郵便屋さんと別れ本堂に戻る住職


占い師には気の毒な結果になってしまったが、せめて命だけは助かるよう祈るしかあるまい。


※占い師を操っていた死神(チラシ配りの男の姿が死神に変わる感じ)


あの占い師を操って呪いの方法を広めれば、もっと楽に魂が手に入ると思ったんだがなぁ。今回もうまくいけば3人の若いJTと、郵便屋合わせて4つの魂が手に入るはずだったのに…。


※占い師の魂を奪っていく死神


まぁしょうがない。1つでも魂が回収できればノルマ達成だし、今回はこれで良しとするか。しかし…あの坊主、知っていて呪い返しをしたんじゃないのか?人間ってのは、何を考えているのか分らん。さて、次はどんな手を使って魂を回収してやろうかなぁ~。

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内職で書いたけどボツ!!…でも!自分的には面白いw 猫執事 @hachitaku

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