大穴温泉の怪、解決。

 どうも、精霊です。


 俺と地の上位精霊のあいつは、ぬるい温泉の中に飛び込んだんだ。

 大きな穴は真っ直ぐ、ずっと下に続いていた。底なんて無いんじゃないかと思うほど、水は暗い色をしている。

 しばらくは周囲を警戒しながら沈んでいったけど、そのうち丸く続く壁にデコボコが規則正しくある事に気付いたんだよ。

 階段だ。螺旋状に下へ続いている。

 俺たちは目を見合わせて首を傾げたけど、とにかくその階段を下りてみる。


 前もって聞いていた話にあった悲鳴はまだ聞いていない。泡も上がってこない。


 一時間くらい螺旋階段を下りても、見える景色は変わらなかった。

 つまり、まだ底が見当たらないんだ。

 ちょっと怖くてゆっくり歩いてはいるけど、それでもおかしい。

 それに、温泉の温度がどんどん低くなっていくんだよ。

 今の段階で常温の水くらい。


 それでも俺たちは下りていく。

 そして、ようやく変化があった。

 ボコボコと泡が上がってきたかと思うと、ここが水の中だという事を忘れそうな悲鳴が聞こえたんだ。

 次に地響き。


 俺はまずいと思って、急いで地の上位精霊を連れて水面へ向かう。

 けど、大穴温泉の底からやって来るソイツの方が早かった。

 振動と共に悲鳴も聞こえる。

 その音から、ソイツが俺たちに追い付きそうなのが分かった。

 そして俺は諦め、歩みを止める。


「鬼ごっこは愉快よのぉ」


 大穴温泉の底からやって来たのは……。

 水龍でした。

 そして水龍におもちゃにされているフーンでした。

 本当に不運だよね。



 つまり事の次第はね、温泉に入りたい水龍が、フーンに錬金術で何とかしろと言った。

 そういう事だったよ。

 そこへ今日、精霊の気配がしたもんだから遊んでもらえると思って年甲斐もなくはしゃいだ水龍ね。

 もう気の毒としか言いようがないでしょ?

 同情するならチヤホヤして下さい。

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どうも、精霊です。 小林秀観 @k-hidemi

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