ドントシンク、フィールという風情の逸品です。

トラックに撥ねられ、異世界に転生してしまい、世界の命運を賭けて難解なルールのカードバトル戦に巻き込まれてしまうという、いわゆる異世界転生モノと、頭脳バトル物の、基本的なポイントを押さえた作品です。

しかし主人公である銀閣さんの、丁寧かつ繊細できっちりと物事を説明してくれるけれど、ほろ酔い加減なバイト先の兄ちゃんみたいな口調の独白と、相棒として登場する猫兼女神様の濃厚かつ弾け過ぎなテンションが合わさり、非常にドラッギーな非日常感が醸され、不条理を愉しむ為の逸品となっている次第です。

曰く「外連味」という説明の難しい要素こそが、この世界の問題を切り抜ける為に必要とされており、いかに見事な「外連味」を発揮して問題を片づけるのか、そこがこの作品の見どころでは無いか……と思ったのですが、そういう事でも無い気がします。
ともあれ「外連味」という要素を、求められた時に求められたテンションで、皆が望む空気感を醸し出す、という風に解釈すれば、今後の人生に、色々と活かせるのではないか……とも思ったのですが、そういう事でも無い様な気がします。

考えるのでは無く、感じる事で楽しむ、そういう作品なのだなあと思う次第です。
力強いギャグロジックのつるべ撃ち、冗談と漫談の無限軌道、そういった作品を好む向きにお薦めです。
非常に楽しく面白いです。(42話まで読了)

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