異世界御伽ファンタジー 黒銘菓短編集80弾

浦島太郎

　「「「「殺せ殺せ殺せ！」」」」

　何百と居る空の鎧が襲い来る。

　中身は元々気高い騎士であっただろうに……悲しいな。

　ガシャガシャガシャとボロボロな棍棒や錆びた剣や折れた槍を持った鎧が襲い来る。

　「スキル：オトギ：浦島太郎」

　腰蓑を付け、魚籠を持ち、竿を持った男に変身した。手にはご存知玉手箱が有る。

　ご存知浦島太郎。金太郎や桃太郎に比べて攻撃的なイメージや伝説は無い。

　亀を助けて竜宮城に行った。

　しかし、浦島太郎は他二太郎に比べて恐ろしい力を持つ。

『オープン！玉手箱！』

　ボワワワワワワ

　箱を開けると白煙が立ち昇った。

　次の瞬間。鎧達が一瞬で消し飛んだ。

　玉手箱。それは周囲の時間を加速させる『広域時間加速装置』である。

　要は、息を止めない相手を風化させる凶悪なアイテムである。