謎謎

紙とペン

第1話

ベンチがなくなったらぼくらは座れない

小銭がなくなったらぼくらはペプシを飲めない

ビールがなくなったらぼくらは酔えない

磯山さやかがいなくなったらぼくらはおっぱいが見れない

ドンキホーテがなくなったらぼくらは変装ができない

ギターがなくなったらぼくらは生きていけない


これは、ある殺人事件のダイイングメッセージである。


殺された山田(仮名)さんが現場で握りしめていた紙にこの内容が書いてあった。この事件は、目撃者がいなかったことや山田さんに友達がいなかったことなど、情報が極めて少なく、手懸かりは唯一このダイイングメッセージだけしかなかった。


ある刑事は言った。

「この中に犯人を探し出す手懸かりがあるかもしれない。」と。


刑事は、まずメッセージの内容を彼なりに整理した。彼はその紙をひたすら眺めた。すると、驚愕の事実に気づいた。驚き、ため息を吐く。ほしのあきのおっぱいを想像する。そして、彼は、ほしのあきのおっぱいが見たいと思った。できれば、触れたいとさえ思った―。


彼は、新宿のドンキホーテに行き、宴会用の鼻付きメガネと、金髪のカツラを購入した。車に戻り、着用してミラーで確認すると、鏡に映った自分の姿は意外なほど外人であった―。


彼は、そのままの格好でコンビニに寄った。ペプシとポップコーンを買ってみた。彼は店員の反応が気になったのだが、至極自然だった。次に寄ったコンビニでは、逆に缶ビールと柿の種を買ってみたら「罰ゲームですか」と聞かれた。彼は、自分の変装に自信を持った。ジョン・レノンに似ているとさえ思った―。


彼は、日が暮れて薄暗い代々木公園のベンチに座り、彼女が来るのを待っていた。少し離れた広場では少年達がギターを弾きながら世の中の理不尽について歌っている。彼は、缶ビールを一気に飲み干す。広場の方から黒い服を着た女の人が歩いてくる。


磯山さやかだ。


彼は、彼女の前に立ち、話しかけた。

「奥サン、チョット聞イテヨ」

彼女は突然の外人の変装をした人の登場に驚きを隠せない。目を赤く腫らしている。「いやっ」

逃げようとしている彼女に向かって彼は叫ぶ。

「旦那サンノコトデス」

彼女はその言葉に動きを止めた。

「名前ハ言エナイガ、アル警察関係者カラアナタノ旦那ガ殺サレタトイウ事件ノ真相ヲ知リマシタ」

混乱している彼女に彼は続けた。

「彼ハ…自殺です」

そう言って、頭を下げた。

彼女は、その言葉を聞くと「嘘…」といって魂が抜けたように座り込んだ。

そして、彼女の目から大粒の涙が、頬を伝って流れ、大きく開けられた喪服の間にある大きなおっぱいに落ちた。


彼はそんな彼女に「嘘だよ」と言いたくなった。

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