絶望と諦観からなる自殺にて、主人公は異なる世界へと放り出された。
主人公にとって世界とは、押しなべて等しく無意義の象徴でしかない。されど彼は、その意義を見出すために世界を放浪する事を決意した。
しかして人ならざる精神と能力を有する彼は平然と他者を虐殺・洗脳し、その勢力は世界を侵食していく事となる。
不利益なる者には破滅を、契約へは忠順を。そして、自身に向けられる善意と好意とを何一つ理解せぬまま、全てを損得の多寡により取捨していく。そこに善悪はなく、愛憎もなく。その歪なまでの平等性は他者を容易く踏むにじり、時としてわずかな救いを与えることもある。
魔術と剣戟。愛と不条理。かつての栄光と、その残滓。それらを一部として抱擁する世界を旅しながらも、彼の価値観は不変を保つ。
ただ、空虚な瞳で万有を見下ろす主人公は、一体世界にどのような価値を見出すのだろうか。
有名誌に見られるような友情・努力・勝利のような構図はこの作品には当てはまりません
うまく窮地を脱した流れかと思わせておいて死亡
テンプレ的には仲間になりそうかと思わせる流れで殺害
老若男女構わず、あまりに死が安く蔓延る世界観があり
主人公こそがその中心に相応しいキャラクターでもあります
通常の倫理観を持ち合わせたご都合主義的な作品やフィルターを通してこの作品を読むと
いわゆる不殺主義に対するアンチテーゼのような強烈な理不尽、不条理感に見舞われ
その他一切と一線を画します
群像劇としてプロットがかなり深く刻まれている一方で
基本毎日の高頻度で更新されるため読みごたえがあります