第3話

「あ、モモから電話だ。もしもし?」

「スズ〜‼︎ 助けて〜‼︎」

「えぇ⁉︎ 何?」


「つまり、この前桜を見に行っててサボっちゃった授業のときにでた課題の分からないところがあるから教えて欲しい、っていうこと?」

「そーなの! 最後の方全然分かんない!」

「もー。急に電話してきて“助けてー”って、何事かと思ったよ」

「ごめんって。でも助けて欲しかったのはホントだし」

「まぁそうだけど……。でもホントに難しいよね。この問題集のラスト5ページ」

「スズはどのくらいできた? 【難問】主要五科目応用問題」

「あー。そんなサブタイ付いてたね……国語と社会と英語はテーマが難しいだけの自由記述形式だからなんとか……埋まったって感じ?」

「でもアレ! 理科と数学は解かせる気ないよね⁉︎」

「そうだよね……コレ全部解ける人いるのかなぁ?」

「スズでも無理なの?」

「数学はややこしいだけだし最後の方の問題以外なら多分。化学も、多分。物理は……複雑すぎ! 無理‼︎」

「ん〜じゃあ、明日休みだからスズの家行くね‼︎ 教えて!」

「まぁいいけど」

「ありがと〜。じゃあまた明日ね! バイバ〜イ」

 切れちゃった。


 モモがうちに来るのはいつぶりかなぁ?

 前にも勉強会したけど結局遊んじゃったんだよね。遊び関連のものは片付けておかないと。


 次の日。モモがやってきました。

「よーし、ってあれ? いっつもこの辺にあるゲーム機は?」

「片付けたよ。モモが勉強教えてって言って家に来たときは絶対に遊んじゃうもん」

「え〜。スズと一緒に遊ぼうと思ってたのに〜」

「勉強するんでしょ?」

「いやそれがね、裏表紙にちっちゃくだけどこう書いてあるのに来る直前に気づいて。【難問】主要五科目応用問題は解けるものだけ解くようにって。つまり昨日電話で言ったように解かせる気ないんだよ‼︎ 私は赤点にならないギリギリでいいんだよ〜。こんなの解いて正解しちゃったら普段手抜いてるのバレちゃう〜。だから今日は勉強しなくていいの!」

「え〜」

 まぁこういうこと言ってるときのちょっとドヤってる(?)モモ好きだけど。特に表情。

「スズも難しすぎて詰まってたんでしょ? 休日っていうのは休むためにあるんです! だから遊ぼうよ〜」

「まぁ私もこれ以上は厳しい感じだったけど……モモは良いの?」

「大丈夫! スズも知ってるでしょ? 私はやればできる子だから。高校入試のときも先生めっちゃ驚いてたなぁ。懐かしっ」

「中学の間中で最下位争いしてたスズが三年の夏の県下一斉テストで急に上位争いしたんだから誰だって驚くよ……羨ましいなぁ、もう」

「だ・か・ら、遊ぼ?」

「まぁいいけど。何する?」

「そーだな〜?」


 その日はずっとモモと遊んでいました。私の、モモが勉強教えてって言って家に来たときは絶対に遊んじゃうっていうのは間違ってなかったってことなのかな?

「いや〜、こーやってスズと二人っきりで遊んだのちょっと久しぶりな気がするな〜」

「そうかもね。お花見は二時間ぐらいだったし。高校入ってから忙しかったからね」

「こういう休日もいいね〜。いや。こういう休日がいい! 休日っていうのはスズと二人っきりで遊ためにあるんだね‼︎」

「いやぁ、それは違うと思うけど……こういう休日の過ごし方もいいね」

「でしょでしょ? 今度二人でどこか遊びに行かない? どこかに遊びに行くのは中学以来だから新しいお店とかもあるだろうしきっと楽しいよ!」

「そうだね。課題の少ない休日に行こっか?」

「課題が多かったらスズの家に泊まって全部終わらせるから大丈夫だよ!」

「えええ。まぁ良いけど」


 スズと一緒にいるだけですごく楽しい。他の友達とは全然違う。スズと一緒の時間は特別なんだなぁ。


 スズと二人っきりの、二人だけの時間がずっと続けばいいのに。

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桜色ハーモニー バル@小説もどき書き @valdiel

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