エピローグ

 私はハートランドへ戻ったのだが、そこには異様な光景が広がっていた。


 鼻を突く異臭が充満している。

 どんな妖魔がここを訪れたのだろうか。


 悪臭の元をたどると、そこには少し前に出会ったあの汚い男がいた。


「マミヤ。どうしたのだ」

「それが、この男が迷い込んで来たのです」

「自力でか」

「ええ」


 100年ぶりの来訪者がこの汚い男だとは運が悪い。

 しかし、我らの国は迷い来る者を受け入れる決まりがある。臭いだの不細工だのと言ってはいけないのだ。


「仕方がない。まず洗浄しろ。徹底的に洗え」

「はい。分かりました。で、洗った後は??」

「マミヤ。貴様にくれてやる」

「アレは遠慮しとうございます。ここは一番経験豊富な女王さまに……」

「私は海斗で十分に潤った。必要ない」

「あら。冷徹ですわね」

「皆の冷めた表情を見よ。誰も希望者がいない場合はオ〇ニーさせて精を奪え」

「分かりました」


 あの汚い男一人でも、我が国は数百年ほど維持できるだろう。


 しかし、見た目であれほど待遇に差が出るとは気の毒ではある。しかし、我らは我らの義務を果たそうではないか。


 ここは妖精の国ハートランド。

 人々の信じる心と男の精で繁栄する女性だけの国だ。

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海が太陽のきらり★【ファンタジー編】 暗黒星雲 @darknebula

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