★★ Very Good!! ある日、自邸の扉を開けるとそこは知らない部屋だった。 北条雨傘 シンプルで「書き過ぎていない」文章と、無駄のない構成がこの短篇をとても魅力的なものにしています。 幻想的だけれどもどこか現実味のある「図書館」という場所。淡々としていて記号的な登場人物たち。 個人的に好きなのは「図書館」の内部構造を描写する箇所。あの描写によって非現実的でファンタジーな存在である図書館にリアリティが与えられ、それが一層、図書館を幻想的なものにしている気がする。 ラストもまた淡々としたスマートな幕引きで素敵ですが、主人公の消失とガラスの本との関連性や必然性をもうすこし突き詰めて提示してもよかったのではないかなと思いました。 ただ、物語の余白を読者に感じさせ、想像を膨らませる余地が残されているところがこの物語の巧さなので、それはきっと蛇足なのかもしれません。 レビューいいね! 0 2019年10月24日 02:50