主人公としての素養と風格を持ちながら一流の企業戦士でもある佐々木氏は、仕事仲間となった魔法少女の不躾に晒された胸にまで常に会釈することを忘れない前屈みジェントルメンである。
彼の生き様に心を打たれるエピソードの数々に、私の中に棲み着く魔法少女は胸を高鳴らせ、彼が魔法使いとして覚醒するに至った清いままの肉パイプがいつ振るわれてしまうのかとストーリーから目が離せないまま、濃ゆすぎる掛け合いが迸る文章に呑まれていき、ついには、いつか自分も大人のお城に召喚されないかと夢見る三十路童貞の心となっていた。
コメディパートの表現が豊かで展開に飽きさせる事無く進み、軽妙ながら精巧な筆致による作者の優れた描写力に舌を巻き続けました。
これほど癖のあるキャラクター達を動かしながら、その魅力を存分に振り撒き続ける膂力にも脱帽です。
願わくば今後、魔法のアイドル・ピンキーMEGUのパワープレイの前に、うっかり童貞を失わないようにしていただきたいものです。
優良会社の会社員だった主人公は、三十を迎えても童貞だった。そんな主人公のもとに、組合からスカウトが来る。なんでも、三十歳過ぎても童貞な男は、魔法使いになれるらしい。主人公は組合に、タッグを組む魔法少女を紹介され、世界を守る正義の魔法使いとして、活躍することになる。しかしタッグを組んだ魔法少女はあまり戦績を残せておらず、主人公は魔法少女を支えながら戦うことになる。
主人公は魔法少女に問う。「諦めて、後悔はしないのか?」主人公の言う「後悔」には種類があった。「やらなければよかった」、「やっておけばよかった」そして、もう一つの後悔――。
主人公と魔法少女は、ライバルからの引き抜きや、悪の組織との対決、事故現場などの様々な苦難と戦いを通して、互いに距離を縮めていく。そんな中、魔法少女は決意する。後悔しないように、正しい魔法少女になると。
一方、海の向こうからマレビトという脅威が迫っていた。組合と組織が裏で手を組んで対処しなければならないほどの、脅威だった。主人公はコモンとギフトという力を武器に、一人マレビトに立ち向かう。次々に駆けつける魔法少女たちは間に合うのか⁈ そして主人公の運命は?
コメディタッチで描かれる、魔法使いと魔法少女の物語。
突っ込みどころ満載で、ハイテンションな仕上がりです。
是非、御一読下さい。
脱帽です。
冒頭からぶっ飛んでいて、色んな意味で超ハイテンションで物語が進行していき、その勢いが最後まで続きます。全編全展開全文章面白すぎました。
なんといっても際立つのは主人公ジェントル・ササキの尖り過ぎたキャラクター性です。それに付け加え、(合法の)お薬中毒の元魔法少女やパッシブで周囲の男性を前屈みにさせてしまう現魔法少女、主人公のせいで特殊性癖に目覚めてしまう悪のアイドルなど、ヒロインズも抜群に個性的で魅力的です。現エースの魔法少女の能力ゆえの悲しい境遇には色々考えさせられるものがあります。
奇抜な設定や類まれなるユーモアセンスによって紡がれる比喩表現と会話劇に目がいきがちなところですが、基礎となる文章能力も非常に高く、シンプルに小説として完成度が高いです。
バス停を背負って、なんていう文章は人生で初めて見たかもしれません。それに笑えるだけではない、マッチポンプ等の社会的テーマや胸躍る激熱展開の描写も見事でした。感動です。