(仮)
うきしろ
序章 暗幕の向こう側
下手から姿を見せた官房長官が壇上に上がると同時に記者らは一斉にフラッシュを焚き始めた。壇上はフラッシュの明かりで白く白く、官房長官さえも隠すほどの光量を出している。
官房長官は壇上の中心へ着くとやや俯いた顔を記者らに見せるように上げた。フラッシュは一層白く眩しく、テレビ越しにその映像を見ている私でさえ目を瞑ってしまうほどけたたましく官房長官に浴びせられている。
彼は重々しく口を開くと同時にこう言った。
「死は、救済ではありません。」
一瞬の沈黙が流れたが、その静けさは侵食されるようにあちらこちらから記者らの驚きの声が聞こえ始めた。
間もなく1人の記者が官房長官に罵声を浴びせ始める。それならば我々はどうすれば救われるのか、この世はまさに出口の無い生き地獄ではないか、生まれさせられたら報われることはないのか。1人の記者につられて2人、3人と罵声の声は増えそれはいつしか怒鳴り声となっていく。官房長官は変わらずまだ冷徹に記者らへ顔を向けている。その顔にはまるで人の感情が存在していなかった。
(仮) うきしろ @ukisiro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。(仮)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます