#アトラクナクアインハロウィーン

海野しぃる

アトラクナクア

 ギチギチ。

 四畳半の暗い和室。

 女が真ん中に座っている。

 黒地に錦糸で刺繍をした羽織。蜘蛛の刺繍だ。染め方の違う黒糸で輪郭を作ることで、やっとそれが蜘蛛だと見えてくる。

 白いうなじが覗いている。シニヨンにして髪を纏めているからだ。

 ギチギチ。

 今にも破裂しそうに蠢いている。

 ギチギチ。

 シニヨンで纏められた髪の一本一本が……ああ、あれは髪などではない。動いている。蠢いている。私の見ているあれは。私の見たあれは。

 ギチギチ。

 ギチギチギチギチ。

 ギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチギチ――プツン。


     *


「あら、いらっしゃい。君が槇島まきしま真理まりさんかな」


 槇島真理を神保町の喫茶店で待っていたのは、男物のスーツを着た背の高い女だった。女は真理の姿を見てすぐ立ち上がると、ハスキーな声と子供っぽい無邪気な笑顔を彼女に向ける。


「緊張しているようね。心配しなくても良いよ。私は夕野ゆうのだいだい、霊能者をやってるの。まあほら、座ってちょうだいな」


 そう言って、橙は真理を自らの向かい側の席に座らせる。

 短く切りそろえた黒い髪、パッチリとした瞳、自信満々の笑顔。それに仕立ての良い男物のスーツ。少しよれたリクルートスーツをおっかなびっくり身に纏い、地味な眼鏡をかけてうつむく真理は、彼女がどうにも眩しすぎるように感じた。


「は、はい。久能です。よろしくおねがいします」

「ええ、よろしく。君の先輩から、君の悩みは聞いている。だから怖がらないで話してごらん? 私は笑わないわ」


 橙は真理の分までコーヒーを頼むと、手を組んで顎を乗せる。

 そして窓から秋の陽が優しく降り注ぐ中、優しく微笑む。

 ――少し眩しい。

 真理が橙に対して感じたのは、そういう種類の隔意だった。しかしそれを差し引いても、彼女ならどうにかしてくれるような気がした。

 それに文芸サークルの先輩から紹介してもらった手前、断るのも少し気が引ける。

 真理はゴクリと生唾を飲み込むと、ためらいがちに話し始めた。

 

「最近、私にそっくりな人に付きまとわれているんです」

「ストーカー? おとなしそうな女の子って狙われやすいものね」


 橙は心配そうな表情で真理に顔を少しだけ近づける。真理は不機嫌そうな声をあげる。


「違います。ストーカーなんかじゃありません。先輩から聞いているんじゃないんですか?」

「君を紹介してくれた先輩ね。うん、聞いてるよ。けど君の口から聞きたいわ」


 ――調子が狂うな。

 そう思いつつも、彼女の語る口には熱が籠もる。中性的な美貌、小洒落た喫茶店、初対面から飛び出すフランクな口調。そういった物に固くなっていたはずなのに、何時しかその緊張はほぐれていた。


「最初は夢でした。夢の中で、私にそっくりな人が何人も何人も私を囲んでいるんです。しかも少しずつ外見が違う。子供の時の私にそっくりな人もいました。私が何人も居て、恨みがましげに私を見ているんです」

「付きまとわれているだけならストーカー、夢を見るだけならば就職活動による精神的疲労。今起きているのは夢を見てからつきまとい。逆ならまだわかる。ストーカーのストレスで変な夢を見ることはあっても、変な夢のせいでストーカーが発生することはありえない。私たちの世界の領分だわね」


 真理は熱心に頷く。

 

「ちなみに今はそっくりさんが近くに居る?」


 真理は首を左右に振る。


「自宅に帰る途中で、一人になった時が多いです」

「私、家についていっていい? ご両親とかいたりするかな?」

「いえ、両親は山形ですので。私は一人でマンション暮らしです。だから気になさらなくても良いですよ」

「じゃあ悪いけど、一晩くらいお邪魔しちゃおうかしらね」

「あの、お代金は――」


 橙は品の良い微笑を浮かべる。


「就活中でしょ? 初任給からいただくわ。その代わりここのコーヒー代だけ手付金にもらおうかしら?」

「わ、悪いですよ……」

「学生から毟る程、アコギにゃなれないのよ。丁度良いし、現場検証がてらおうちに向かいましょう?」


 ――綺麗だな。

 真理はその微笑を見ているだけで、それまで心にのしかかっていたものをしばし忘れてしまう自分に気がついた。


     *


 橙は真理の部屋に入るとすぐに冷蔵庫をあけた。


「晩ごはんどうする? 空っぽだけど」

「あー……ここのところずっとコンビニで済ませてました」

「お金有るねえ!? 学生なのに」

「両親がくれるので……」

「じゃあ折角だし、偶には気分転換で料理でも作ろうよ、料理。絶対栄養偏ってるよ」


 真理は苦笑する。

 ――霊能者なのに何なんだこの人。

 ――っていうか楽しそうだなあこの人。


「……真面目にやってます?」

「そうだなあ。真理ちゃんが寝不足で、体調不良気味で、あと冷えが最近キツイってのが分かるくらいには真面目にやってるよ?」

「えっ、なんで分かるんです? もしかしてお医者さんとか?」

「霊能者だよ? 健康と心霊現象の関係くらいおさえなきゃ駄目だって。部屋の中の環境、酸素濃度、照明の光量、窓の数、入ってくる光、騒音、虫やネズミが入ってくるか、そういうの」


 思ったよりも真面目な人なのかもしれない。

 そう思った真理は警戒がほぐれて、思わず笑みが漏れてしまう。


「学校の検査に来る保健所の人みたいですね」

「学校の? ああ、似ているかも。そういえば真理ちゃんは先生目指してるらしいね?」

「あはは、無理無理、あんな薄給激務やってられませんって」

「世知辛いねえ」

「じゃあ何をやればいいかが見つからなくって今困っているんですけどね。夏なんてインターンも行ってなかったし」

「自分を見つめ直しながら就活なんてきついよねえ」


 真理は深くため息をつく。

 ――私、これからどうなっちゃうんだろう。

 そう思っていたところに、細長い指が肩に触れる。


「ほらほら顔上げて。ご飯の準備しましょ。元気が無いとなんにもできないわよ?」

「うー……ところで橙さん、なにか分かりました?」

「そうねえ……蜘蛛? が見えるわ」

「蜘蛛」

「殺したりした? あるいは神社とかで入っちゃいけない場所に入ったとか」


 真理はしばらく目を丸くして橙を見つめる。

 ――心当たりはある。

 急に橙が顔を近づける。真理は悲鳴を上げて後ろに下がる。


「心当たりはあるって顔ね」


 驚いて目を白黒させる真理を見て、橙はカラカラ笑う。


「貴方が見たのは自分と同じ顔の人?」

「は、はい、そっくりでした」

「蜘蛛は見えた?」

「いいえ」

「あらあら……貴方から蜘蛛は見えてないのか。じゃあ雑に壊しちゃうのも問題ね」


 橙さんは背中を見せて、部屋の片隅にあった小さなコケシを手に取る。


「まあ良いわ。じゃあこれ、この派手な色合い、菊の意匠は肘折系のコケシね。山形の人なら肘折温泉って知ってる? そこで作られるものよ」


 真理はコクコクとうなずく。


「地元だから知ってるか。月山って修験道における聖地のすぐ傍にあってね。かつてはひじりるから、聖居ひじおりって呼ばれたの」

「そ、そうなんですか?」

「通常のコケシは子供を失った人々の祈りが込められているなんて言うけど、これはちょっと逆ね」

「逆?」

「子供を作るのよ。修験道っていうのは現世利益を追求する部分が大きくて、願いを叶えるおまじないとか、権力者の命令による祈祷とか、そういう怪しいやつも結構あってね。子宝祈願なんていうのはその一つ。このコケシだっておそらく――」


 橙はコケシを振り上げて、テーブルの角に向けて振り下ろす。


「やめて!?」


 真理の悲鳴と同時に、バキッという音が鳴ってコケシは真っ二つに折れた。


「ほらほら出てきた」


 割れたコケシの頭部に小さな空洞があった。

 橙はその空洞の中に指を入れると、中からカサカサに乾いた蜘蛛のミイラを取り出す。

 

「ほうほう、君が蜘蛛だったんですねぇ~?」


 橙は楽しそうにそれを紙に包んで懐にしまう。


「それは……」

「蜘蛛神の娘よ。力があるから人間たちが掠め取っていくの。ほら、蜘蛛の子って一杯いるでしょう? だからそれにあやかろうって呪具に利用する不届き者がいるの」

「そ、そんな物壊しちゃってよかったんですか!?」

「不味いかも? でもまあそれを咎められるのは私だし。大丈夫大丈夫。この蜘蛛とコケシの残骸は私が回収していくからさ。蜘蛛のミイラ入のコケシなんて気味が悪いでしょう?」

「あの、けど、私が生まれたのってそれのおかげ……なんですよね?」

「そだねえ」

「壊したらやっぱり私死んじゃうのでは?」


 橙はそれを聞いてゲラゲラと笑う。

 わざとらしく腹まで抱えている。


「な、なんでそこまで笑うんですか!?」

「いや、命の心配ができるんなら思ったよりも大丈夫そうだなって。やぁ、良かった! 蜘蛛の力は生まれるまでさ。そこから先、貴方がこんな物を持たされていたのは契約のせい。親御さんか、祖父母か知らないけど、知識を持っている誰かが新だから処理できずに残ってたのかもね」

「そういう……ものなんです?」

「そだよ。さあ事件も終わったし、ご飯食べよう。食べて元気だそう。今日は手作り料理と思ってたけど美味しい店知ってるから行こうよ! そして遊びに行こう! 私、顔の良い女の子を観ながら食うご飯が大好きなの!」


 ――なんか今さらっとやばいこと言ってた気がする。

 真理はあえてそちらを聞かなかったことにして、もう一つの疑問を口にする。


「は? 遊びに? どこに?」


 橙はそれを聞いて嬉しそうに微笑む。両腕を広げると、スーツの袖から大量の化粧道具が飛び出す。


「パレードだよ! 今日はハロウィンなんだから! ほら! その可愛い顔をもっと可愛くしてあげるから覚悟しなさい!」

「え、ええぇ……!?」


     *


 二時間後。夕食を終えて人で賑わう渋谷の町並みをしばらく楽しんだ後、真理は橙の馴染みのパブへと連れ込まれていた。


「ステーキどうだった? 女の子にはちょっとボリューミーかと思ったんだけど、元気出すにはアレが一番かと思ってね?」

「疲れ切っちゃいましたよ。知らない人に声かけられたり、とにかく周りがうるさかったり、人の数が多すぎて目が回ります。なんでこんなことを……」

「私が楽しいからだよ」


 魔女に扮した橙は愉快そうに微笑んだままカクテルを傾ける。猫耳を装着されて使い魔コスの真理は困惑まじりにため息をつく。

 

「息抜き……ですか」

「楽しかったでしょ? 知らない男にナンパされたり、派手な服装でこうやって酒を飲んだり、折角可愛いんだから楽しみなよ、その愛らしさをさぁ」


 橙は真理の肩に腕を回す。

 真理は諦めたようにもう一度ため息をつくと、目の前の果実酒を一気に飲み干して橙の腕を払う。


「もう……橙さんってなんなんですか。いきなり頭良さそうなこと話したり、こうやって変な遊びに私をつきあわせたり、しかも初対面ですよ私たち。まだ会って二十四時間も経ってないのに! っていうか、こんなのついてくる私もどうかしてますよね知ってました!」

「おっ、よく気づいたね?」

「でも私は橙さんと違って女の子に興味は無いですからね!」

「分かってる分かってる。落ち着いて頂戴な。そこまで見境無い女じゃないわよ私」

「うーっ!」

「あらあら酔ってら」


 橙は足を組み、その上に肘を乗せ、さらに拳の上に顎を乗せる。

 そして、品定めをするように真理の顔を覗き込む。

 相変わらず真理は小動物のように唸っている。

 酔った真理には橙の瞳の色が黒から赤へ赤から青へ青から灰色へ灰色から橙色へと次々移り変わっていることが分からない。

 およそ人間と思えない奇妙な混色の瞳は真理をしばらく見つめた後、ぽふぽふと彼女の頭を撫でる。


「な、なにを!?」

「この東京には人がたくさん居るわ」

「それはもう十分見ました……」

「その多くはあなたみたいに地方から出てきた人々」

「そりゃあそうですよ。東京で生まれ育つ人なんて少ないに決まっています。よっぽどお金持ちだというならまだしも……」

「そうね。生まれ育った土地を離れて、こちらに送りながら、鬱屈としつつ日々を過ごす貴方みたいな人ばかり」

「だと思います。大学の人たちもだいたいそんな感じです」


 橙はそれを聞いて微笑む。


「このハロウィンはね、神無き祭りなんだ。地方から集まってきた若者たちの、宙に浮いたエネルギーや鬱屈する情念を発散させる為の祭りだ。しかもそのエネルギーを受け取る神が居ない。その無色透明さが若者たちには心地よかったのだろうけど、まあ愚かというより他にない。君、都内の梅毒の罹患率がハロウィンブームと共に上昇している事は知っているかい?」


 ――この人は何を言っているんだろう。

 ――まだ私にセクハラしている時のほうがまともに見えるぞ。

 ――いや、もしやこれもセクハラの一種なのか?

 真理は黙り込んだまま橙の話を聞く。


「まあ知らないよね。けどこれはあくまで一例でさ。感染病っていうのは呪詛とよく似ている。病気が広まる場所では呪詛も広がる。いや、うん、そこでね」


 あっけらかんと、橙は続ける。


「君から私に移した呪い、ついさっきこの街で適当に放流しちゃった」


 真理の酔いが醒める。

 そして、なんと言えば良いか分からず、パクパクと口を動かす。

 攻めるような、怯えるような目の色を見て、橙は満足そうにうなずく。


「何をしたところで、この祭りには咎める神が居ない。つまり無法地帯ね。だから私は簡単に自分へ移した呪詛を処分できた。人間でもできる簡単な技術よ。けど、この時代の人間はもうそんな知識さえ無い」

「な、な、なんでそういうことするんですか!?」

「一番簡単に呪いを処分できるからよ。人間としての限度を越えない方法でね」


 落ち着け。

 与太話だ。

 本当に霊や呪いなんて居るとは思えない。

 大方驚かせて楽しんでいるだけなんだ。

 真理は自身にそう言って聞かせようとする。

 だが駄目だ。橙の言葉は毒のように身体の中枢まで忍び込み、真理の神経を支配する。あるいは、この人ならば、そういう思いが次々と湧き上がってきて、抑えられなくなっていく。


「あら失礼。違うのよ。貴方に信じさせたかった訳じゃないの。今の私は人間の真似事を楽しんでいるから、人間としての言葉と力で貴方とお話したいのよ」

「貴方、何なんですか」

「蜘蛛の神様」


 橙は懐に入れていた蜘蛛のミイラを取り出して、放り込み、酒とともに流し込む。


「神……」


 真理は身の危険を感じて後ずさろうとする。だが身体は動かない。


は永久 《とこしえ》に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫 えいごう のもとに死を超ゆるもの。神とはそういうもの」

「わ、わかんないです……!」

「永遠じゃねえ、無限だ……ってこと」

「わ、わかりません……」


 橙は真理の顎をクイッと手に取る。


「まあ、そうだよねえ。大丈夫大丈夫。理解は期待していないから」


 橙はウインクを飛ばしてから彼女を開放する。


「貴方が可愛いから、貴方とあのコケシを作った連中……貴方の家族は見逃してあげる」


 真理は安堵のため息を漏らす。


「さあ帰りましょう。きっと楽しいことになるわ。呪いを吸って呪いは増えて呪いは憑いて呪いは拡がる。この東京に、そして誰かが持ち帰る。ここから、何処までも。誰も知らぬままに終わっていく。貴方だけが知っている。世界を滅ぼすのに神の力など要らぬのだと、ただほんの僅かに垂らされた意図だけで、カンダタどもは地に堕ちるのだと」


 橙は立ち上がり、服についた埃を払う。

 舞踏会で淑女を誘う貴公子めいた爽やかな笑みで、橙は真理に手を差し伸べる。

 真理がボーッとした頭で手をとると、彼女の意識はゆっくりと闇の中に溶けていく。


     *


 真理が目を覚ましたのは、自宅の寝室だった。

 部屋は少し散らかっていて、昨日橙が来た時のままだ。

 ――結局、あの後、お酒飲みすぎちゃったな。

 自分が無事に家まで送り届けられていることに、少しだけ安堵する。

 ――怖かったもんな、あの人。

 普段の習慣で水を飲んでテレビをつけて、お湯を沸かす。

 パンを食べて、窓を開ける。


「昨晩の渋谷ハロウィンパレードは無事に終了し、会場に散らかったゴミの片付けをボランティアの協力の下で執り行っております。今年は例年になく盛況でありながら事件もなく、大成功であったというコメントが出ております」

「いやあ~良かったですねえ~!」

「ボランティアの方々による協力ということですが、こちらもコスプレをして清掃に励んでいるそうですよ」

「ハロウィンは海外だと死者の霊や魔女が現れる日ということですが、日本ではお祭りとしてすっかり定着してしまいましたね」

「それではここで世界各地のハロウィンの風景をお届けしていきましょう」


 真理の脳裏には浮かぶ。

 今一瞬だけ映った渋谷のVTR。

 橙と二人で歩いた道も映っていた。

 ――あの人はどこに消えたんだろう。

 ――あんなものが、日常のどこかにぽっかり空いた落とし穴みたいな人が、人かすら怪しいあの人が、今日もどこかで生きている。

 散らかった部屋は、夕野橙の存在した確かな痕跡を刻んでいる。

 肩を抱いた温度、甲高い笑い声、涼しげな目元。

 ――気持ち悪い。

 ――人間の顔、人間の言葉、人間の行動で、けどあれは絶対に人間じゃない。

 ――私がそう思ってしまっているから。何故、私は、あの人を絶対に人間ではないと思えるんだ。

 ――それこそがきっと証拠で、それこそがきっと。

 ハロウィンが終わったあとの朝。昨日と何も変わらない町並み。決定的に変わったものが何か。槇島真理には分からない。

 彼女は薄く微笑んで、またリクルートスーツに身を包んで家を出た。

 何が終わったとしても、彼女は終わってないのだから。

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