滅びと再生

 時は、一が暴走し、世界征服へ進んでいる時の事。

 「愈々、始まってしまったか。予言とは少し違うが、確実に天上の家系がこの世界の終焉を始める。天上 善悪の美しいものは儚く崩れやすきもの、だから世界は一度滅びなければならない。という思想で、天上の一族は、世界を滅ぼすように、その思想を行動を受け継ぎ継承してきた。」

 

 「予言どうり、私の子供、天上 一は、世界の外側をも埋め尽くす闇の力でこの世を終わらせに来る。」

 

 破壊と闇の化身。

 デスグリードとなって、其の為に組織した国。日の国はこの世界を守り切る。ミクル一号はそう考えていた。量産型ミクルアンドロイド。三体のミクルは意識を共有し合い異なる時空間上で、暗躍してきた。仮面の五人衆との結託。闇夜 幻夜の末裔、闇夜 月日と闇夜 斬流。宇宙帰りの組織アンノーン、西條 茂樹の登場。幾つかの不手際はあった、時代を変える器の持ち主たちは、世界のプログラムの一部を書き換える、魔法に近い能力を持つらしい。


 「現在、一は、四つの世界の住人を洗脳操作により洗脳し、支配している。」

 

 仮面の五人衆は、襲ってくる一の軍勢と戦っていた。


 「この、イライザの国にまで侵略しに来るとは。」

 

 ビーチェ・ダイヤモンド・アナスタシオンは驚いた。

 

 「分かりました。あなたを永遠の石像にしてあげましょう。」


 ビーテェ・ダイヤモンド・アナスタシオンその、女の能力は、あらゆるものの密度を操る空間系の能力。

 

 世界国家、ゼウス。その国は強大な国家で、最大規模の地上である。ゼウスの国の中央にこの世界の秘密がある。闇中 暗のみた、この世界の設計、記述、あらゆる情報の記録、その空間、時、命、泡、波を超越した何かを記述しづける、コンピューター、その具現化装置。その中央には、天才 閃博士と、木ノ葉 崩はいた。そして、見ていた。ゼウスのこの装置を前には、天上善悪も、成すすべは無く、後世の天上にその破壊と闇の衝動を継承させ、爆発的な破壊で世界を破滅させる人間の衝動により、世界の理不尽に対抗するしかなかった。そう言った事でさえ、その世界の外側のこの世界の設計者には、どうしようもなく哀れにあもわれた。


 「私は傲慢であるように見せているだけだ。人間は侮れない。それは、あの寅寺郎が創った話の人間の恐ろしい学習能力と勝利への執念、その絶え間ない努力を知っているからだ。」

 

 寅寺郎。あいつの物語は。懐古と幻惑は、その感性とセンスはこの世界の土台言うなれば、彼の感覚や感性がこの装置のハードウェアなのだ。彼の辿った道がこの世界に幾分無く発揮されている。知識と経験が物語を創らせるからだ。


 声が聞えるんだ。その声を書いているだけだと寅寺郎はいっていた。文字を操り其れを具現化させる装置、数式化、具現化。其の為のミニチュアでの実験。


 「天上善悪の破壊の概念、人間のもつ感覚、恐怖、そして消滅を回避しようとする事による

成長、進化、其れが生命の進化、熱い熱風に晒された氷からは蒸気がでる、霧からは巨人が生まれる、巨人の血肉は、海となり、川となり、大地となり、草花、樹をつくり、岩から人間がっ出来た。アニミズム的に身の回りのものが声持ち、魂をもち語りかけた、そうして不完全な人間は進化し続けた、其れが善悪の呪いと祈り。世界は広大で偉大。どうか人間に死がありますように、死ななければ進化しない、痛みがなければこの世界は無だ、苦しみからしか成長は望めない。」

 

 先代の天上の遺伝子ゲノムに刻まれた記憶が見える。滅ぼせ。滅ぼせ。滅ぼせ。そして世界に恐怖を与えよ、傲慢を打ち負かせ。進化の法則を助長せよ。


 「君の目的は何だ。君にだって人格があるだろう。この記憶を見て君がどうするかは君が決める事だ。ただ、歴代の天上は、その度に世界を滅ぼし続けてきた。」

 

 「私は、この世界に反逆する。世界の外側の法則さえ変化させる、秩序を壊し、混沌に還す。そして無から、再生させ、進化させる。成長の限界を越えるには、破壊が必要だ。」


 そして、一はゼウスの国へ、闇夜 月日と共に進軍した。


 闇夜 月日。闇夜一族は天上の思想い共鳴し、その力を恩恵を天上 善悪から与えられた一族だ。その後も、その能力を進化させ、遺伝子とゲノムにより継承してきた。


 「一さん。ゼウスの国の天には、仮面の五人衆、この世界の特異点(はみ出し者)がいます。奴らは相当手ごわい。この世界に仇をなした、反抗した、神の天敵の集まりだ。」

 

 「神の天敵ねえ。知ったことか。イライザの人間が何者であろうと、滅びに何の慈悲も必要ない、完全に破壊し、空ごと吹き飛ばす迄だ。」 

 

 そういって、辺り一帯を滅ぼす魔法の陣を描き。其れにイメージを送った瞬間、大きな爆発が起こり、ゼウスの国とその天上のイライザは消し炭になった。が、ビーチェ・ダイヤモンド・アナスタシオンの密度操に操作により、物質は小さく硬質化し、攻撃が破壊が、その振動が全く通らなかった。

 

 「来たか。この世界の異端児。」

 

 「ようこそ、天国へ。この土地は仮面の集団の名前に替えて守り抜く。」

 

 無数の美しい花が辺り一面から現れる。その花は一の体に纏わり付きその魔力を吸収する。ブラックフラワーの能力は、生命の操作。遺伝子の破壊と書き換え。書き換えられた食人植物の美しい花々は、一を苦しめる。

 

 「私達の国を穢すものは、排除します。」

 

 急に闇の瘴気が立ち込め、花達は萎れた。


 「この程度か。仮面の集団とは。」 

 

 まさか。ブラックフラワーの死の花は不死身の植物。永遠に命を吸い続け、骨も残らない。

 

 「貴様ら。闇の力を知らないのか。」 

 

 全てを吸い込み、操る影と闇の力。


 ビーチェは、密度操作でとがらせた、ダイヤモンドやより硬く切れる刃物を、音速で投げた。 

 

 闇はそれらを吸い込み。反射した。

 

 ビーテェは内臓を突き刺され、死んだ。花のリカバリーで回復するも追いつかない。


 

「そんな、まさか。回復できない。これが闇の力なのか。」

 

「 完全コピー。吸収。 死ね」

 

 ブラックフラワーの死体が転がっていた。

 

 仮面の二人は殺した。この国に、世界の秘宝化け物生成装置の元が或るとの情報だったが。

 

 密林を抜けるとそこには、緋色の巨大な研究施設が建っていた。


 「此処は・・・。」


 中に入る。吹き抜けのロビーが広がっている。奥に入るとそこには、二人の男が、液体に入れられ、水槽の中で眠っていた。


 「あらあら。此処まで来ちゃったの。ここは、蘇生の儀式中だってのに。」


 「僕は、通りすがりの商人でね。この魔力の箱(肉体)の錬成をみてたんだ。君たちに僕は叶わないよ。ただ、商人の情報力と根回しを舐めるなよ。」


 天上の国の名物、瞬間移動装置。これに乗って、赤、青、緑のミクルと、屍瑠 纏、藍坂 花梨、アブソリュート、左利 徹が現れた。

 

 「一。貴様を追放にきた。」 

 

 「おお。此れは。此れは。」

 

 三角包囲網。ミクルは一を包囲すると屍瑠流の剣術で完全に斬られた。屍瑠流は闇をも斬る真剣。

 

 「血だ。こんな、私に傷を付けたのは君で三人目だ。」

 

 「いたぶって、殺してやる。」

 

 闇夜 月日は、藍坂 花梨 と左利 徹と睨みを利かしている。


 「君には殺せない。君は弱いんだ。未だ力を扱えていないのに暴走して飛び出した。そんなお前程度、封印できない事はない。」

 

 万物の色と波のこの命を引き換えとする技で貴様を葬ってやる。


 「紐解き。」

 

 すると一の体がバラバラになって崩れた。


 「闇を吸収しろ、 アブソリュート」

 

 「ペンちゃんお願い。」

 

 闇はバラバラになった体をくっつける。この技が終わるまで闇を一から当避けなければならない。

 

 「隙を見せたな。」

 

 月日は花梨に襲い掛かるが、左利は其れを、回転連撃で受け止める。高速に体を回転させ、切り裂くこの連撃は竜巻のそれと何ら変わらない。

 

 竜巻が闇を祓う。

 

 「貴様もついでに死ね。紐解き。」

 

 「箱をよういしろ、この中に封じ込める。」


 棺桶のような箱があった。

 

 不死身はこうして殺す。闇が触れられない神聖な光の箱に肉体と魂を封じ込める事で、完全に無に帰す。

 

 一の闇は一の肉体から離れ分離していく。此れが、天上家の呪い。


その闇は実態を形つくる。黒い灰が集まりその形を作り出す。


 「これが、大魔王 サタンウルク 。」


 「天上 一 素晴らしい才能だった。君の中の負の感情を吸って此処まで大きくなった。」

 

 サタンはじろりと周囲を見渡すと。

 

 「封印したつもりだったようだが、この苦しみは闇は消えない、私は人間の負の感情の化身だ。」

 

 「死ね。」

 

 ミクルは背後から闇の刃に刺されて死んだ。そして、闇夜  月日の閉じ込められた棺桶から黒い灰のような闇が出て、サタンウルクの存在を大きく濃くする。

 

 「これが、破滅の力か。」 

 

 屍瑠 纏は、唸った。

 

 圧倒的力の成す術もなく絶滅の危機にあったその時。

 

 棺桶から声が聞える。

 

 「待てよ。貴様。僕の闇を返せよ。」


 一の声だ。

  

 「憎くて、恨みんで、みっともなくて、屈辱的でもそれは僕の一部なんだ。僕の力を返せよ。闇 サタン ウルク。」

 

 「よく言ったものだ。また耐えかねて、僕を投げ出すに決まってる。人間の闇を化け物を、飼いならせずに僕を頼るに決まってる。」

 

 「いいや。もう迷わない。僕は君を受け入れて一緒に死ぬよ。」


 「まさか。貴様。私を受け入れて、一緒に命を落として罪を、その犯した負の財産を贖うというのか。命が惜しくないのか。」

 

 「こんな、命ひとつで君が救われるのなら本望さ。僕の闇。悪魔。」

 

 そうして、彼は闇を抱えたまま、自殺した。

 

 「主人公が、自殺しちまったんじゃあ、仕様がないな。」 

 

 と、西條 茂樹はいった。


 「それも、そうだが・・・。まだ残っている謎はどうなる?」

 

 数色 司はいった。葬式は、丁重に行われた。


 「一が死んじまったんじゃ話が進まないよ。」

 

 と多くの物語の登場人物はいって、無になった。

 

 永遠なんてものは、無いのかもしれない、けれど、僕達は永遠に若く強く、ありたいと思う。誰よりも特別でありたいと願う、他人と自分を比較する。他人を尊重するごとに闇を増やしていく。


 「彼が死んだのも・・・。何か、不安で強迫観念から死んだのだろう。」

 

 「すごく出来た人だったのにねえ。何か、大きな闇に取りつかれていた。その実態は分からないが、死のその先にもずっと追ってくる深い深い闇が、彼の日常の態度からは

想像さえできない憂慮が、苦悩が、彼を苦しめ殺したのだ。」

 

 「誰も彼を助ける事なんてできなかった。」

 

 海の音と波の静けさが海岸の砂浜を覆っている。その道を歩くのは、幼い日の一とそのかけがいのない存在達だった。

 

 「何が、気に入らなかったのだろうか。一は僕達を見るたび、会うたびに何処か重苦しく自分を責めていた。」

 

 人の良すぎるあの人の事だから、大事な物が出来る度に深くその責任を感じていたのだろう。その他人の人生も自分の人生にも。

 

 相変わらず、港町のこの街には、その磯の香りと海の風が運ぶ海の心地いい風と匂いで包まれていた。鴎の鳴き声が何処からともなく聞こえてくる。

 

 どうにかしなくちゃならない。

 人生は有限なんだ。

 若いうちしか、出来ない事があるんだ。


 そういって、突っ走っていたその人が正に若いうちに死んでしまうとは皮肉なものだ。十八歳の夏の終わり、海に溺れてしんでいた。如何しようのない、不安、将来に対する期待と、大人になる事への恐怖、年老いて衰えることへの恐怖、天才ともてはやされ、栄光のその場所にいた彼は、行き場のない孤独と不安に苛まれていたのだ。

 

 「死ぬなんて馬鹿のすることだわ。」

 

 と、彼の事をよく知っている。幼馴染は、そういって泣いていた。ばっかじゃないの、自分が死んでも誰も悲しまないし喜んでもくれないって思っているんでしょう。


 あんたの友達は、みんな泣いているわ。あなたが死んで喜ぶ人なんて一人もいなかった。


 「どうして、死んだかなんて馬鹿の考える事はわからない。」

 

 沈黙が其処にはあった。


 彼の死への沈黙が。


 あなたが生きていた事。必死に生きて自分から死んだ事。その理由は分からないけれど、私たちは、死んだあなたの事を忘れない。あなたが残した数多くの伝説を語り継ぐ。立派な生き様だった。

 

 ありがとう。僕達の事を此処迄真剣に考えて思い悩んでくれて、君は誰よりも責任感の強い憧れだった。 

 

 これは、死者へのレクイエム。


 最期を見届ける。君に祈りを捧げよう。冥福を祈ろう。君が色褪せないように、君の残した遺産を、記録を、エピソードを、音楽を絵、を数式を、残しておこう。君の墓と共に。



 「彼奴は敗北者だ。自ら命を投げ出した間抜けものだ。」

 

 と或るものはいった。


 「よくそんな事が言えるものだ。生前に彼の残したものがどれ程のものであるかも知らないで。」

 

 或るものに反駁するものもいた。


 死者は喋らないのだ。それに何を言われようと、味方が出来るのは、彼の生前をよく知る私達だけ。彼の世界を調べている内に彼、彼女等は、とある事に気が付いた。

 

 「これは、彼のノートブック?」

 

 開いてみると其処には。

 

 「痛い。」 から始まる冒険の、世界の、壮大なストーリが書かれていた。此れは、彼の体験を記した記録!!!。

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

芸術と心 無常アイ情 @sora671

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ