第2話《邂逅》
3日後──────────
「フレッド、クレア、次の仕事だ。」
リックは真面目な男で、フレッドのおちゃらけをいつも問題視している。
「バルボアストリートの4thアベニューに、不審な人間がいると報告を受けた。調査してきてくれ」
リックは2人を交互に見ながら言った。
しかしフレッドは、
「そんなもんもっと下っ端にやらせりゃいいだろ?
俺たちには役不足だよ」
と相手にしない。
リックが何かを言いかけた時、クレアが代弁するように
「いいから。行くわよ」
と、フレッドのバックパックを引っ張って部屋を出ていく。
「心配だ……」
誰にも届かないリックの呟きが部屋に残った。
バルボアストリートは、本部から車で10分程だ。
サンフランシスコの中央を東西に走る通りで、そこまで栄えてはいない。
ヘイノス以前には、フレッドお気に入りの「リッチモンド」というカリフォルニア料理屋があった。
現在、バルボアストリートにはバリケードが設置され、車は通れなくなっている。
そもそも世界がダウンしているので、燃料は貴重品だ。
そこで、馬が重宝されている。
フレッドとクレアはそれぞれの馬に乗り、走らせた。
現場にはすぐ着いた。
二人は馬から降り、辺りの警戒をしながら8thアベニューを見る。
そこには、何も持っていないように見える人間が1人佇んでいた。
「オイあんた、そこで何やってんだ!
さっさと家に帰って……」
フレッドは肩を叩いて話しかけた。
その男は振り向いた。
そして、次の言葉を待たずに……口を開き、フレッドに襲いかかった。
「危ない!!」
クレアが男に銃を向ける。
しかし男は怯むことなくフレッドに襲いかかる。
次の瞬間、男は地面に倒れていた。
「危なかったわね。大丈夫?」
「……あぁ……無事だ……。」
突然のことに動揺しているフレッドとは対照的に、クレアは至って冷静に残弾の確認をしている。
二人は死体の確認を始めたが、その死体は全くありえない事だらけだった。
「……この死体……腐食が始まってる?」
「そうね。1週間程前に死んだものみたい。」
そして2人は顔を見合わせ、
「……ハイトリップ……」
と呟いた。
「……なるほど。ハイトリップの感染が始まっている、と……」
報告を受けたニックは呟いた。
「さらなる調査を?」
「いや、それは政府に任せよう。それより大事な報告があるんだ。」
二人は眉をひそめた。
「レッドフィルのワクチンが完成した」
「なんだって!?」
すぐさま2人は食いついた。当たり前だ。
「だがいいニュースだけじゃない。そいつが奪われようとしている。」
「……どういうことだ?」
「ホワイトブラッドがワクチン完成の情報を聞き付け、それを奪おうとしている。
それだけは阻止せねばならん。」
ニックはため息をつく。
「……お前たち、ノートルフへは?」
「……ない。クレアは?」
「ないわ。」
「そうか。ノートルフは現在とてもクソッタレな状況でな。知事と政府が揉めていて、正規部隊は有事の際以外の介入が出来ないんだ。奴らもそこを着いてトラックを襲うだろう。」
「……そこで私たちが対応すると?」
「そういう事だ。だが、支援は期待しないでくれ。
ノートルフは弾薬の持ち込みも制限されるほど厳しい区域だ。こんな世の中とはいえ、我々政府の人間がルールを破るわけにはいかない。」
「つまり、クソみたいな資源で戦ってこい、と?」
「あぁそうだ。ついでにバイオハザードエリアも検出されてるし、ハイトリップのオマケ付きだ。どうだ、やれるか?」
二人はお互いを見てから、
「お安い御用だ」
とニックに笑いかけた。
「……とはいえ、人手はいるな。俺達だけじゃ……」
「人出ならあるわ。ほら、アソコに。」
フレッドはニヤリとし、
「おーい!あんた達!!ちょっと手伝ってくれ!!」
「そう、あんた達だよ!!今これを見てるあんただ!!」
to be continued...
パンデミックサバゲ 《前日譚》 めあやん @mareyan
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