第二首 バレンタインチョコ 結びの句。

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 三日目の今日、みさとは帰ってくるやいなや、保存していた"がとぉ・しよこら・・・ ・・・・"なる、焼きたての時点で甘美な香りを漂わせていた甘味を切り分け、食卓に並べた。

「待たせたな、若紫。ハッピーバレンタ────……、おい」

「いただきます!」

 みさとには悪いが、わちしはもう限界だったのだ。

 食べたくて食べたくて、このときを待ち焦がれていたのだ。言葉の途中とはいえ、「いただきます。」と手を合わせたのだから、そのまま素手で手に取り口に含めたことくらい、この際勘弁してもらいたい。

「び、美味なりぃ……!!」

 卒倒するかと思った。

 外側のざらつきとは裏腹に、しっとりとした食感の内面。柔らかいのに、しっかり口の中を独特の甘味あまみが覆っていく。

 こんなもの……、ひと口たりとも、他の女子おなごには渡せない……っ。

 わちしに甘味の耐性がないと、みさとはしかとわきまえていたのだろうか。

 これを食ろうてしまえば、源氏様に渡せるどんな甘味も劣ってしまうと、ちゃんと認識していたのだろうか。

 そんな些末な疑問を抱えつつ、しかし、それでもやはり、この甘味の海にわちしは浸り続けるのだった────。

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足摺りて たな知らぬもの 頬張るも ころもまとうて 食えど飽かぬも -歌仙- 千菅ちづる @Fhisca

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