アクアリウムの中心で

丘月文

アクアリウムの中心で


 ここは小さな水族館。イルカショーはありませんし、水中トンネルなんてものもありません。

 四角い壁のような水槽に、海の魚、川の魚、熱帯の魚が泳いでいて、あとは円柱の水槽に海月が漂い、池には鯉と亀がいます。

 けれど、この水族館ではちょっとした良いことが起こるのだそうですよ。

 え? 良いことって何かって?

 それは見てのお楽しみ、ということで。

 それではどうぞ、当水族館をごゆっくりお楽しみください―――。





 天井に反射した波紋を見つめて、由香里はふぅと息を吐き出した。ここのところ仕事が忙しく、こんな風にゆっくりする暇もなかったのだ。

 久しぶりの完全な休日。ふらりとこの水族館に来てみたくなったのは、きっと一昨日の電話の所為なんだろう。

(何か、懐かしいな)

 タイル張りの床も掲示板の木枠も、段々になっている水槽も。ずいぶんと長いこと、見ていなかった気がする。

 学生時代はあんなにも訪れていたというのに、社会人になってからはすっかり足が遠退いていた。

 辺りをぐるりと見回す由香里の脇を、小学生低学年くらいの男の子と女の子がはしゃぎ声を上げながらすり抜けていく。

 後ろからは「走っちゃダメよー」という女の人の慌てたような声。

 兄妹には見えないな。幼なじみだろうか。じゃれあう姿が微笑ましい。

 幼いカップルに由香里は和んだ。

 そうだ、ここは優しい思い出がいっぱいの場所。

 その一つ一つを思い出すように、由香里は子供達の後を追って館内を進んでいった。



 その水族館を前に綾乃は唖然としていた。

(何これ、ダッサイ!)

 ボロいし、ショボいし、小さいし。

 これなら隣にある図書館でデートの方がまだマシというものだ。

(ってゆーか、ありえない! 初デートなのにぃ!!)

 どう見ても公園の延長である施設。ここに来る道だってデコボコで、踵の高い靴では歩くのにも苦労した。

 ちなみに綾乃の服装は淡いピンクのフレアスカートに上はカジュアルなジャケット。それなりに頑張った格好だというのに。

(これじゃ、公園デートじゃん。なら、ちゃんと言ってくれないとぉ)

 水族館だなんて言うから、もっとちゃんとしたところかと、目一杯オシャレしてしまったではないか。

 こんなことなら、動きやすいようにスニーカーとパンツスタイルにすればよかった。

(でも、ありえない! こんなしょぼいトコ。

 あーあ、やっぱり付き合うの、止めとけばよかったかなぁ)

 ちらりと隣にいる彼を見て、気付かれないようにこっそりとため息を吐く。

「どうかした?」

 そんな綾乃に彼、二週間前に告白してきたクラスメイトの田島君が覗き込むようにして聞いてくる。

「え? 何が? それより早くいこっ」

 何でもないような顔をしてねだるように言えば、田島君は「うん」と、どこか照れたみたいに頷いている。

(た〜んじゅん! このままデート代も払ってくれないかなぁ。

 とゆーか、こんなとこの入館料なんか払いたくないんだけど)

 なんて思っていたら、田島君が「チケット、買ってくるから、待ってて」と言ってくれた。

「えー、悪いよぉ。いいの?」

 一応マナーでそうは言うけど、これはそっちが出すべきだよね、と綾乃は思う。

(でなきゃ、もうデートしなーい)

 にこにこと笑いながらそんなことを考えていた綾乃に、田島君は意気込んだように言った。

「いいって! 出させてよ」

 うん、これはちょっとカッコイイ発言。でも、このデートプランじゃあ台無し。

 なんて思っていても、綾乃は顔に出すなんてことはしない。

「ありがと」

 上目遣いで小声のお礼をする。それだけで田島君は顔を赤らめ、それから大急ぎでチケット売り場へ走っていく。

 その後ろ姿に綾乃は今度は隠すことなくため息を吐くのだった。



 ここは由香里が大学時代から付き合っている正志との定番デートスポットだった。

 隣にある図書館で待ち合わせして、ここを二人で見て回って、食事して。何をするでもない、二人一緒にいるだけで良かった。ううん、今だってそうだと思うのに。

 一昨日の正志との電話は、正直、胸に刺さった。

『由香里は俺がいなくても平気なんだよな』

 だってしょうがないじゃない、仕事があるんだもの。そっちだって約束をドタキャンしたことあるじゃない。

 と、言えなかったのは由香里が気付いてしまったからだ。

 ―――彼に会えていないのに、この頃は寂しいって感じない。

 忙しさと充実感ある毎日が過ぎ去って、ふと彼のことを忘れている自分に由香里は気付いてしまった。

『何か、言えよ』

 悲しそうな正志の声に謝りそうになって、由香里はそれをなんとか飲み込んだ。ケンカの仕方も忘れているだなんて。

「平気なはずないでしょ。……………会いたいけど、仕事じゃしかたがないじゃない」

 根本的な問題から目を逸らして。

『分かったよ。埋め合わせ、してくれるんだろ?』

「もちろん」

 きっと正志は解っている。それでも由香里と一緒に目を逸らしてくれる。

 良いヤツなんだ。学生時代からそうだった。

 徹夜明けでも図書館で爆睡するくらい疲れているのにデートに付き合ってくれるようなヤツだったっけね。

 知ってる。イイオトコだよ、正志は。

 こうしてゆっくり水槽の前を歩いていると、由香里はつい後ろを振り返りたくなる。じっくり見たい由香里にあわせて、正志はいつも後ろで待っていてくれたから。

 振り返ると正志が「あ、もういいか? 次に行っても」と急かすように言うので「あとちょっと」なんて焦らしてみたりした。

 そういうことを考えれば薄情なのは由香里であって、ああして責められるのは仕方がないのかもしれない。

 正志はいつも我慢していたのかも。

 由香里がまったく我慢をしていなかったわけではもちろんない。だけど…………好きの温度差っていうのは、あるのかもしれない。

 そんなことを考えていた由香里を、高校生くらいの手を繋いだカップルが追い越していった。

「ちょっとした穴場なんだ、ここ」

「ふーん、そぉなんだー」

 張り切ってエスコートしている男の子とは反対に、女の子の声は明らかに冷めている。

 顔は笑っているが目が笑っていない。

 女の子は踵の高い靴に、砂糖菓子のような可愛らしい服。とても分かりやすいスタンスだ。

 本人は上手く取り繕えていると思っているのだろうが、同性から見れば作り笑いなどすぐ判る。

 あれで気が付かない男の方もなんだかなー、とは思うが由香里はそこで少し考えを改めた。

(上辺だけでも相手に良く見せようってんだから、偉いものよね)

 打算だろうが、愛情だろうが、取り繕うことは時に優しさにもなる。

 ただし目の前の彼女に関しては、まだまだ甘いよ、というか。ちょっとばかり説教したくなる、というのもオバサン臭いか。

 だがまぁ、彼女には彼女の恋がある。とやかく言うべきじゃないんだろう。そんなことは由香里にだって分かっている。

 二人を見ていてモヤモヤしてしまうのは、羨ましいからだ、とも。

 由香里の隣には正志がいない。

 この気持ちを何と言ったらいいんだろう。

 寂しい、とはまたちょっと違う気がするし。恋しいというのとも違う。

 大人になればなるほど、名前のつけられない気持ちが増えていく。

 どうしたいのか。どうすればいいのか。すっかり分からなくなって。

 でも平静を装ったまま歩いていくしかなくて。

 この水族館の空気はあの頃のままなのに、由香里は今、一人でここにいる。

 それを考えて、由香里は少しだけ自分の気持ちが分かった気がした。

(ここに正志もこれたら良かったのにね)

 残念というのが、一番近いのかもしれなかった。

 寂しいとは違う、恋しいとも違う、もっと静かで穏やかな暖かい感情が、由香里の胸には確かにあるのだ。

 だから、一人でいても正志との思い出が寄り添っていて、想いは彼の傍にある。

 それに気付いたら、ふっと固まっていた思考が解けた気がした。

(そうなんだ)

 永遠である必要なんかなくって、変わってゆく気持ちを恐れなくたっていいのだ。

 ただ新しいこの感情を慈しめば良い。そうやって誰しも時を重ねていく。それに気付いたら、先をいくカップルを見る目さえ変わってくるから不思議だ。

 彼女には彼女の恋が。自分には自分の恋が。

 由香里は自然と微笑んだ。



 その頃、海月の漂う円柱の水槽の間でシホはむくれていた。

(りょーちゃんのばか。何であんなに怒るのよぅ)

 走っていってしまった幼なじみなんて探す気になれない。

 だいたい何だっていうんだろう。いきなり怒りだして。

(うーーーー、ばかばかばか! もういっしょにプールに行ってあげないから。宿題だって、てつだってあげないんだから!)

 シホは口をへの字に曲げて、海月がふわふわ漂う水槽に手をついた。

(手をつなぐくらい、いいじゃない)

 そもそもが、ついこの間まで―少なくとも小学一年生までは―普通に繋いでいたというのに。

「そんなガキくさいこと、できるかよっ」なんて。

(なにそれ)

 振り払われた手にじわりと涙がにじむ。

 何でこんなに悲しいの。何でケンカになっちゃうの。

(もぉ、ヤダ)

 思わずしゃがみこんだシホに。

「大丈夫? 具合、悪い?」

 声がかけられた。

 見れば人の良さそうなお兄さんが心配そうにこちらを見ていた。

「何でもないです!」

 恥ずかしくってシホは慌てて涙を拭いて立ち上がった。

「大丈夫です」

 しかし、そう言ったシホにお兄さんは首を傾げて、言葉を続けた。

「うん、でも」

 その時。

「シホに何してんだぁ! この変態!!」

 ものすごい勢いの飛び蹴りが直撃し、お兄さんはバランスを崩してしりもちをついてしまった。

「りょーちゃん!?」

 飛び蹴りをした人物にシホは目を丸くし、でもその次に引っ張られた手にもっとびっくりした。

「泣くなよ、バカ! ほら、いくぞ!!」

 ぐいぐいと引っ張るその手が何だか懐かしいような、でもドキドキするような。

 手をつなぐなんて、ガキくさいんじゃなかったの? なんて言えなかった。

 だから、かわりに。

「ありがと、りょーちゃん」

 シホはそう言った。

「……………ばーか」

 りょーちゃんはシホを見ずにそんなことを言ったけど、つないだ手はそのままだったから。

 うん、許してあげようって、シホはそっと思った。



 小学生に蹴り飛ばされてへたり込むとか、ほんと格好悪い。

 綾乃は冷たい目でそんな彼を見ていた。

「あー、いたた。うん、けっこー良い蹴りだった」

 情けなさそうな顔で言いながら立ち上がる田島君に綾乃は若干引き気味だ。

(何、このひと。お節介だし、しかも変態とか言われちゃってるし)

 それで蹴り飛ばされるとかありえない。デート中なのに。

「ごめん、何かどたばたしちゃって」

「えーと、うん。大丈夫?」

 とりあえずそうは聞いてみたけど、綾乃は心配なんかしていない。

(アレでケガしても自業自得じゃん?)

 密かにそう思う綾乃に、田島君は笑った。

「大丈夫、大丈夫」

 そんな彼に綾乃は何故かイラッとする。

「でもさ、いいよね、ああゆうの。初恋っぽいというかさ、眩しいよね」

 田島君は本当に優しい目で、駆けていった小学生のカップルを見ている。

(何、それ。キモイよ。ウザイよ。私、そんな純粋キャラと違うよ?)

 綾乃のモヤモヤは止まらない。

「どうかした?」

「………………何でもない」

 作り笑いもできなくて、少しつっけんどんな声が出た。

(ヤだな。ほんと、こんなのキャラじゃない)

 可愛く作って盛って。楽しいことが一番で。

 ダサくて、格好悪くて、面倒なことはスルーして。

 それが良いって思っているのに。

「そう? じゃあ、最後にこの水族館で最大の見所にいこうか!」

 返事もしないのに、テンション上げて案内する田島君に本気でイライラする。

(コイツ、空気読めない鈍感男だ。最悪。もーヤダ。絶対別れる。このデート終わったら、速攻で別れてやるー)

 なんて考えていた綾乃は。

「さあ、どうぞ!」

「―――――――え」

 いきなり開けた視界に驚いた。

 長い通路の奥に高い天井の部屋。そして、その上から差し込むのは日の光。

 ガラス張りの天井には水がはられていて、水槽を下から見るような仕組みになっていた。

 あぁ、でも。ゆらゆらと光が揺らぐその空間は、まるで水底にいるみたい。

「ちょっとここ、すごいでしょ」

 上に気をとられていたけれど、周りを見れば部屋の壁は全て水槽で、淡水魚に統一されたそこは本当に池の中にいるような感覚にさせる。

 仰ぎ見れば水に揺らぐ青空。そこを悠々と泳ぐ鯉。

 綾乃はぼうっと見惚れた。

「どう?」

 そう聞いてくる田島君に綾乃は焦った。だって、間抜けな顔をしていたと思うから。

「うん。ちょっとすごいね、ここ」

 田島君が言ったセリフをそのまま繰り返しちゃった。

「でしょ? だから、君に見せたかったんだ」

 そう言う田島君に。

(キャラ、違うんだってばぁ)

 そう思うんだけど。イラッとしたりもするんだけど。

「……………………ありがと」

 なんて言っちゃって。

(あぁ、ダメ。おかしくなっちゃったじゃん、田島君の所為で)

 綾乃は内心でため息を吐く。

「どういたしまして」

 そう笑う田島君に微笑み返しながら。

(らしくなくて困っちゃう。こんなの、いつまでも続くはずないし。私、飽きっぽいんだもん)

 なんて思うのに。

 繋いだ手は離せなくて。

(ほんと、困る。こんなの)

 ――――本気になるなんて、ダサくて、かっこ悪くて、面倒なのに。

 でも、もう無視できない。そんな予感が綾乃にはした。



 どう見ても二人の世界に浸り切っている高校生カップルを邪魔するわけにもいかず、由香里は最後の展示室からそっと引き返した。

 あの甘い空気がこそばゆい。

 というより、あの彼女の態度。いったい何があったというのか。手の平返しもいいところだろうに。

(なーんて、ひがみはやめておきましょうか)

 ここは「若いって良いわねー」くらいに控えておくのが大人というもの。

(なぁんて、ね)

 それでも携帯電話を取り出してしまうのは、やっぱり羨ましいからなんだろうか。

 というか、当てられてしまったんだ。あの二人の恋心に。

(うん、会いたいよ。君に、会いたい)

 心からそう思う。愛しいひと。

 ディスプレイに浮かぶ彼の名前を見つめていた、その時。

「えっ!?」

 まさにその人から電話がかかってきて、由香里は動揺した。

「え? 何コレ? タイミング、良すぎじゃない?? って、切れちゃうって!」

 慌てて通話ボタンを押す。

「ま、正志!?」

 すると相手も驚いているような、上ずった声が聞こえた。

『な、何だよ、どもったりして!』

「だって、電話がかかってくると思わなかったから!」

『何だよ、それ』

 その、いつもと変わらない声に、顔が見たいな、なんて由香里は思う。

「どうしたの? こんな時間に電話をかけてくるなんて、珍しい」

 自然と由香里の声が柔らかくなる。

『あー、その、な、一昨日は言い過ぎた、と思って。悪かった』

 正志の言葉に泣けてくる。優しいんだ、本当に。

「うん。私も、ごめん」

『なぁ、今日ってお前、休みなんだろ? 今どこにいる? 家?』

「あぁ、うん、今ね、なんと水族館に来てるんだ。ほら、昔、よく行った」

『マジでっ!?』

 急に正志が叫んだ。

『今、どこっ!?』

「え、だから、図書館の隣の水族館」

『じゃなくて、あー、もういい! 俺が行く!! 出口で待ってろ!!』

 そして乱暴なくらいに電話が切れた。

(え? 待ってろって。まさか?)

 まさか、そんなことってあるんだろうか。

 由香里は急いで出口にむかった。そして由香里が外に出たのと同時に。

「本当にいた!」

 息を切らした正志の声が聞こえた。

 見れば数メートル向こうに、さっき会いたいと思った人がいて。

「それはこっちのセリフ!」

 由香里も彼に叫んだ。

 そして二人は顔を見合わせて――――笑いだした。

「はははっ、二人してここにくるとか、気ぃあいすぎ」

「私は休みなの! むしろ、何で正志がここにいるのよ」

「俺は昼休憩。何かちょっと、ここに寄りたくなって。来てみたら、由香里に電話したくなってさ。そしたら、お前、ここにいるんだもんなー」

 ちょっとおどけたようにしながらも、本当は真剣な気持ちの吐露。

「………………あんなこと言って悪かった。平気なはずないよな」

「うん。でも、会えなくても大丈夫っていうのも、嘘じゃないの」

 会えたら、こんなにも嬉しい。

 でも、由香里は一人でだって歩いていられる。

「ここに来て、私やっぱり正志が好きだなぁって思った。

 あのね、正志だから平気なの。会えなくても、すれ違っても。

 私は正志を好きで、正志もちゃんと私のことを想ってくれてるって分かってるから。

 だから頑張れるんだって、そう思うんだ」

 由香里の言葉に、正志は参りましたというように、近くのベンチに座り込んだ。

「何だよ、そういうの、不意討ちじゃねぇか。てーか、俺が女々し過ぎるんじゃん。お前の方がよっぽど男前なんじゃん。あーもー、やってらんねぇー」

 でも正志はちゃんと由香里を見ていてくれるから。

 由香里も正志の隣に座った。

「俺だってなぁ、その………………すげー好きなんだからな」

 ほら、ね。ちゃんと言ってくれる。そんな正志がとても好きだ。

 そんな由香里達を、今度は高校生カップルが遠巻きに見ている。

 さっきとは反対に、彼女が羨ましそうな顔をしている。由香里は笑ってしまった。

(うん、恋は良いものだよね。幾つになっても)

 由香里が思った―――――その瞬間。

「ギィッ!」

 声も高々に、何かが鳴いた。

「え?」

 池で遊んでいた小学生達が、高校生カップルが、そして由香里達が。

 いっせいに、その鳴き声の主を見る。

 まるで全てが自然の摂理だといわんばかりに頭を上げて。

 池の亀が。

「「「「「「鳴いたっ!?」」」」」」

 誰もが亀を見つめ、様々な考えが頭を駆け巡った。

 だが、池の真ん中でその驚愕を与えた張本人は素知らぬ顔。

 御影石の上にどんと構えて身じろぎもしない。

 最初に沈黙を破ったのは元気いっぱいの小学生達だ。

「すげぇ! 亀って鳴くんだ!!」

「ほんと!」

 続いて高校生カップルが顔を見合わせ。

「聞き間違いかな?」

「え、本当に鳴いたよ?」

 そして由香里達も。

「初めて聞いたんだけど」

「俺も」

 と、囁きあった。

 そして最終的は―――――皆が笑いだした。

 そう、ここは楽しい思い出がいっぱい。そんな水族館なのだから。





 さて、いかがでしたか? 不思議なことは起こりましたでしょうか?

 当館が気に入っていただけましたのなら、ぜひまたおこしください。

 それでは、またのご来館を心よりお待ちしております。







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