第6話 鳥のうたう白々し嬉し

 赤々しい白々しさ



 あの後世界は眩しく赤く光っていて、よく見たらパトカーに照らされていた。



「君か?ワイヤーアクションをしたチキンというのは?」


「いや、あの違うんです。違わないけど。もう絶対しないんで、いやできないんで」


「厳重注意ね、あんまりハッチャケ過ぎちゃダメだよ。怪我したりさせなくてよかったね。今日の天気予報は急なチキンの雨にお気をつけくださいなんて言ってなかったからね」



 とイケメンの警察官は去っていく。僕は彼女となぜか連絡先を交換して、バイバイした。だいぶ小鬼や魔女から離れてしまったと思ったら職場の集合場所の近くだった。もしかして魔女はただ僕を帰してくれただけなのかもしれない。鬼に惑わされ彷徨った僕を。



「お前、何やってんだよ」


「ごめん、なんか風?にあおられて」


「いや嘘だろ」


「まあ実はちょっと魔法をかけられてね」


「いや嘘だろ」


「あといろんな女子と会った」


「いいなあ、そんなことなら俺がチキンやればよかった」



 僕は通る人たちとハイタッチしながら歩いた。一瞬空を飛んで思った。やっぱり疲れる事に変わりはないな。そうして空を見上げて真っ暗な空にもうしばらくすれば日が昇る事を思い出す。



 〇〇〇〇〇〇



 空が白んで、赤くは見えない太陽が昇る

 帰らなくちゃね



「楽しかったね」



 口々に思い出を語りながら

 みんなで空へ帰る



「みんな最期は土や水や火から、空にかえるのにねえ」



 鳥のうたがきこえる

 人になりたい鳥の

 うたがきこえる

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愁いを知らぬ鳥のうた 新吉 @bottiti

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