決着


 「オラオラオラ!」

 距離を詰めて殴りかかる。

 賢者相手なら魔法より肉弾が良い。

 魔法使われる前にタコ殴りにしてやる!

 「望む所。」

 なんと、自分から俺に近付いて来た。




 手が8本に増えた。

 「ナニィー!」

 ダガドガダダダダドガゴドゴドゴ!

 モロにラッシュを喰らった。

 「魔法による部分分身。だと………?」

 「?普通に殴っただけ。」

 残像か!難易度魔法より高いぞ⁉


 「バフでゴリゴリにして物理で殴るタイプの賢者か。」

 魔法使いならその手の魔法はお手の物だったな。

 「いや」

 「ソィ!」

 言葉を遮って蹴りを喰らわす。

 蹴りを合わせに来たがもう遅い。

 





 賢者の足が膝から先だけ扇のようになった。






 何言っているか解らん。

 俺も解らん。

 唯一解ったのは、俺が次の瞬間、後ろに吹っ飛んだというだけだ。

 蹴りに使った足がバキバキに折れていたというだけだ。






 「賢者………何をした……ガフッ!」

 足が扇状に展開される人間なんて見た事無いぞ!

 何だアイツ?ロボか?

 「何?

 膝固定して27回蹴っただけ。」

 何その必殺技?

 この野郎…物理ばっか!

 「クソ!くらえ!『獄炎』」

 掌を向けて炎を叩き込む。

 素手で如何にか出来るものならやってみろ!



 カッ!



 マワシウケ!

 如何にかしやがった。

 炎を掻き消した。

 魔法は無理…なら



 「『魔王剣術』見せてやろう。」

 手の中に剣を出現させる。


「『肉体強化』・『追い風』・『爆風斬』」

 魔法をありったけ剣と肉体に込める。

 膂力を上げて背後からの風で推進力アップ、斬る寸前に刀身から爆風が出て更にインパクトの瞬間に炸裂する。

 受けて肉体の破片一つ残ると思うなよ!


 「奥義:魔王斬」


 地面が踏み込みで叩き割れる。





 斬





 賢者が消えて体が斬られていた。


「ゴホ」


完敗だった。

気付く事無く賢者は居合斬りを喰らわせたようだ。








 「俺の勝ち。」

 「俺の負けだ。が、最後に一つ良いか?」

 「何?」

 「何で魔法を使わなかった?」















 「物理で殴った方が早いでしょ?」









 「お前の様な物理な賢者が居るか!」







 魔王討伐完了。

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お前のような賢者が居るか! 黒銘菓短編集14弾 黒銘菓(クロメイカ/kuromeika) @kuromeika

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