心のなかで、ずっとこういう小説を探していた気がする

時々、書籍化されている作品と、WEB小説との違いを感じることがあります。
おそらく、WEB小説で大勢を占めるラブコメや異世界ファンタジーの勢いに、私の心が追いついていないのだと思います。

しかし、こちらの作品は、私の心のなかにすとんと収まるものがあって。
きっとこういう作品を私は求めていたのだな、と心がしぜんと反応した気がしました。

見当ちがいかもしれませんが、私のなかでは森絵都さんや辻村深月さん、あるいは梨木香歩さんのような、10代20代の若い読者にお勧めしたくなる部類の作品です。

まず、品がいい。
これは私のなかでとても重要な要素です。

それから、心理描写が丁寧です。
心を取り戻す物語なので、特に心理描写には気をつかわれているのかなと思います。

また、作品世界が柔らかく、優しさが染みわたっています。
キャラクターは個性豊かで、どの人物にも優しい目が注がれています。

時間をかけて丁寧に紡ぎあげられた、上質の物語です。
作者様がこの作品をとても大切にされているのがよく伝わってきます。
将来作家になられる器を持った方だと思います。
ちょっと嫉妬してしまうくらいお上手です(笑)。
一読してみてはいかがでしょうか。

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