ブラック企業に勤めていた主人公は、砂漠の異世界に転移します。そして彼はそこで、人から感謝されたり、必要とされたりする幸せと、かけがえのない仲間たち、そして自分の居場所とやるべき事、やりたい事を見つけていきます。
カクヨムイチ、サクサク読めるのではないかというほど読みやすく、引っかかりのない文章で、物語の展開に集中出来ます。その一方で、ここぞというドンピシャな情景描写の文言が随所に挟まれており、いつのまにかアニメを見ているような錯覚を覚えるほどです。
また、ジンという謎の生命体が出てくるのですが、その設定がまた憎いくらいに秀逸で、その謎が知りたいとページをめくる内に、どんどん物語に吸い込まれて行きます。
王道の成長物語であり、ロードムービーのような美しさがある傑作です。旅が好きな方には超絶オススメの作品!カクヨムで旅といったらコレ!と言うべき物語は、あなたを見た事のない美しく残酷な世界へと連れて行ってくれるでしょう。
さあ、表紙を開きなさい。
愛と友情と冒険の砂海(せかい)があなたを今か今かと待っております。
自分は誰にも必要とされないと思っていた主人公が異世界へと転移すると、そこは砂漠だった。
そして二人の青年に出会って迎え入れられたのは、新しい家族の村ともいえるキャラバン。
そこで新たなる力を手に入れた主人公が、この世界に自分の居場所を見出していくというファンタジー小説です。
砂漠という舞台で始まる異世界も中々無いなぁと思っていたのですが、単純で想像しやすい「魔法」ではなく独自の設定を使った「マナ」という力。そして「ジン」という敵の設定が大変魅力的です。
またキャラバンの人々の主目的が行商としっかり決まっているのも、物語の一本筋を通すのに大きな役割を担っていると思います。
とても良質なファンタジーだと思います、未読の方は是非。
冒頭は重めなブラック企業の描写が出てきますが、わりと短めに終わっている点がよさげだと思います。
そこが長引くとファンタジーに入りこめなくなるので、最短ルートな分だけ続きが読みやすいです。
それから紹介コピーにも書いたように、異世界への移行がスムーズで説明と描写の量が適切で、これまた読みやすさにつながっています。
>服装は、職場から帰ってきてから、何も変えてない。つまりスーツのままだ。上は白いカッターシャツ、下は黒のスラックス。靴も革靴。
↑こういった描写があるのは親切だなと感じました。
思いっきり個人的なことを書くと、異世界ファンタジー→ギルドみたいな流れが多いので、キャラバンという一捻りは好感が持てる設定だと思います。
まだ読んでいる途中ですが、続きが気になる面白い作品です。