MRAF(MOBA+RTS+Action+FPS/Fighting)

作者 秋山機竜

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12人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

 天才というのが世の中には少なからず存在します。
 彼らは常人とはあきらかに違う能力を持って僕たちの前に現れます。
 神に愛されているとしか思えない環境、能力、そして本人の適性、運。
 人間というのは基本的に不公平にできており、その不公平さに凡人はなぜ自分は凡人なのかと嘆き、時に諦観を持って凡人でよかったなどと思うものです。

 けれども。

 天賦の才を与えられても。
 そしてそこに努力を重ねても。

 天才が幸福を掴めるかというと決してそうではない。

 神かそれとも運命か、不幸にもその才能を開花させることなく、腐ってそのシーンを去っていくということが、この世界では当然のように起こります。

 いわゆる挫折は平等に人に降り注ぐのです。

 天才でも凡人でも、人間が生きていれば避けて通れないそれはイベントです。

 そこに折り合いをどうつけるかは人それぞれで、違う道を選んだり、だらだらと惰性で続けたり、あるいはきっぱりと割り切ったりといろいろです。
 逃げるのまた一つの道。そして、その逃げた道から、再び幸運に巡り合って立ち直っていくのも、また一つの再生の在り方だと思います。

 とまぁ、長々となりましたが、これはeスポーツに愛された、一人の少年の挫折と再生、そして成長の物語。

 主人公はかつて日本で初めて欧州リーグに挑んだ(……と思う、すまん、うろ覚え)高校生eスポーツプレイヤー。
 けれども、自らのプレイングの未熟さ、精神的な未熟さから、そのただ一度の挑戦を切っ掛けにシーンを退いてしまいます。

 そんな彼が逃避の果てにたどりついた高校で、再びeスポーツへと巡り合う。
 信頼できる部長、頼りになるかは怪しいが真剣に競技に向き合う部員。それぞれに信念をもって立ち向かってくる対戦相手。そして、袂を別った元チームメンバーにしてライバル。彼らとの交流を経て再び主人公は、eス… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

ゲームでもなんでもそうだが、バトル物はリアリティーの投げ方が難しい。なぜなら作者はいつでも(実力だか運だか敵失だかで)主人公が勝ったと書けてしまうから。

重要なのは、勝つにせよ負けるにせよ、そこに到る構成で、いかに説得力を持たせるかだ。架空のeスポーツ大会にも関わらず、その点、本作は成功している。

だが本作の真の魅力は、ゲーム云々を超えたところ、キャラクタ造形の見事さにある。渋いエンタメ筆致とラノベ展開を行ったり来たりしながらも、その点が貫かれているから読み応えがあるのだ。

★★★ Excellent!!!

 最近、テレビやネットで取り上げられることが増えた『eスポーツ』。その世界のリアルな実情が丁寧かつ臨場感ある筆致で描かれていて、自然と引き込まれてゆきます。

 登場するキャラたちは、個性的でありつつもリアリティがあり、読み手も主人公と同一化したかのように楽しい出会いと友情を育んでいく過程を味わえます。
 多数の人物が登場するにもかかわらず見事に書き分けられており、いずれもキャラがしっかりと立っています。高い筆力の為せる業と思います。

 ストーリーは、挫折からの復活・さらには強豪にリベンジするという明確な目標があり、どうすれば強くなれるのか? 成長できるのか? という点を読者も共有していけるので、応援していく気持ちを自然と持つことができます。
 あとは、ヒロインとの関係がどうなっていくのか――ここも物語を引っ張っていく面白いところです。構成も、とても上手いと思います。

 朝読小説賞に参加されているようですが、ぜひ教室で皆さんに読んでもらいたいと思える作品でした。この作品を読んで楽しく学べば、きっと、よい学園生活と青春を送れることでしょう。