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暁くん、とても、楽しそうでよかった。彼の感情はやっぱり、色褪せてはいなかった。

 人生の最大のスパイスは、喜怒哀楽なのだから。最後に楽しんでくれたのだから、しばらくはここに留まってくれるだろう。

 毎回の事だ。暁くんが、午後八時ごろになると世界に色が灯る。

 それは、神様の気まぐれかもしれない。そういう症例は聞いたことが無かった。

 けれど、そういう風に神様が作ったのならば、ソレは慈悲だと思う。

 幽かな期待に胸を膨らませ、喜びを得た瞬間が世界に色がつくのだから。

 私だってそうよ。暁くんと過ごした一日があるから、残りの一年間頑張れる。

 だから、また来年。世界に私たちの色を見つけに行こう。


 色褪せてなんかない。

 そこに確かな色はある。

 あなたの目に映った、色は何色ですか――?


                               終わり

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色褪せた街 紫 繭 @14845963

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