第25話
ピアノのレッスンでポグスワフと話す。サバラの言いなりになっている。
「音が変だわ」
「先生は余計なこと言わないで、演奏だけ教えればいいのです」排斥
静かな場所で飛手を飛ばす。操り人形を操作する。
手ばかり見られていることをアジャジに話す。まじろぐ
「飛手を使わないで演奏したい」
「よくわからないけど、どっちの手も良い音色よ、聴いている人は聴いているわ」破顔
飛手で演奏したくない。飛べなくなる。背反・肺腑
サバラが怒る。リストカットする。
卒業コンサートが近づくが、飛手は戻らない。サバラはあきれる。感情的になり、「飛手がなければ、ただのピアニストよ!」悔しくて言ってしまう。歯噛み
ポグスワフ「しかたないから、一人の曲を練習しなさい」見捨てる。
サバラは付き添いにこない。常盤は悲観するも、一人で猛練習する。掣肘、あるいは桎梏からの解放。悲観と自立の喜び。
「大丈夫じゃ、常盤は才能に恵まれておる。飛ばない手には、飛ぶ手にはない優れた能力を持っている」さらにぼけが進行した白頭のリーチュンに慰められる。
飛手にたよった演奏をしていた。サバラは白眼。
飛ばない両手だけで演奏会をひらき、飛手を使わずに上質な演奏をして、観衆の多くは途中で帰る。本物の観衆だけが残る。素晴らしいピアニストだと証明する。飛ぶ手は重力から開放された自由奔放な音、飛ばない手は重力に縛れた足取りのしっかりした音。それぞれの特徴は違う。それに気づいたサバラも心を入れ替える。一度舞台からおりて、サバラと仲直りする。「悪かったわ、もう飛手をつかわなくてもいい。でも飛ばない手の音は、本当に生きるのは飛ぶ手の音が加わったとき。逆も言える」。舞台に戻り、アンコールで即興演奏をする。音が生き生きとして、自然と手が飛んでしまう。サバラが舞台に現れて踊り出す。結局、飛手を使わずにはいられない。
飛ばない手があるからこそ、飛ぶ手は自由に飛ぶことができる。陰と日向。凧。それまでは飛ぶ手に遠慮していたのが、それ以降、飛ばない手も対等に演奏するようになる。一皮むける。
それ以降即興演奏はサバラの前以外ではしなくなる。
音楽高校へ進学する直前に戦争が勃発する。
演奏活動をしている。友人達が見に行くことを話す。
手の動きばかり気にとられて、肝心な曲を聴かれていない。
すでに有名になっているが、手が四つあるだけの色物という見方が強い。
サバラに依存しているので、女子とうまく話すことができない。
戦争中の演奏が何より彼を有名にする。
現在の生活から、戦争勃発までを描く。
常盤は十五歳、高校生になる前、音楽学校へ進学。
サバラは二十一歳、大学三年生、服飾大学。
演奏活動をしている。
サバラがマネージメントしている。
戦時中自作の曲を元に即興演奏をする。
空を飛べるのはなんて素晴らしいのだろう。蜻蛉や蝶々など、色々な空の飛び方が真似できる。
常盤・奇形・ピアニスト・出兵・作曲家・芸術よりも祖国と家族
大家族・陽気・温かい
大国が資源を求めて侵攻してくる。
ゲリラ・国の為に
兵として参加する。演奏で士気をあげる。
音を使ったブービートラップを考案する。
電波を使用したスピーカーを張り巡らせ、電子音楽に慣れた大国の兵士にある音を聞かせる。戦意喪失、誇大妄想などを引き起こす。
祖国の民謡を基にしたある旋法を使って兵の士気をあげる。マインドコントロール。
戦争は長く続く。
残虐性がおおいに増す。
一面偉人に見えるも、裏では醜悪な面もある。
常盤は出世する。戦争終結前に死亡する。
資本力の差で戦争に負ける。マムーンは処刑される。ネムは亡命する。
母親は息子が亡くなってうれし泣き。
サバラ、常盤が死んでから両腕を切断して自殺する。手は見つからない。
死後の解剖で妊娠が発覚する。胎児には飛手がついていた。常盤の子供。
それから飛手を持つ子供ばかりが生まれる。
飛手・その国限定・
作曲はほとんど戦争に捧げられた。
凶暴性を増進させるので、常盤の作曲した曲の演奏を禁止する。秘曲
一曲だけ祖国(家族)に向けた曲もある。それも禁止される。それを聴いて兵士はなごみ、人間性を保っていた。捕虜の虐待はしない。
作曲は祖国=家族の為。
即興演奏は姉のために行われ、純粋に音楽を楽しめたと語っていた。その時は姉は即興で踊りを楽しんでいた。一度兵舎に来て楽しんでいるのをうらやましそうにネムは見ていた。
飛手をもつ子供たちが青年になり、傀儡政権にクーデターを起こす。内戦が勃発する。
ネムが指導者となって、大国の支配から抜け出す。飛手はほとんど生まれなくなる。
飛手の国として世界に知られる。終戦記念日には、家族に向けられた飛手の二重奏が各地で演奏され、多くの人が世界中から集まる。
曲は楽譜に残り、いつまでも弾き続けられる。演奏は幾人の耳に記憶として残り、やがて話だけが伝えられていく。
飛手 酒井小言 @moopy3000
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