第5話 輪廻
「さすがね、三階までサクサク来たわ」
「うん、良いパーティーだ」
「僕が置いた宝箱、気づいてくれるかな〜」
「スペシャル回復セットだっけ?」
「アタシの作った回復の泉の方が喜ぶと思うわ」
「え〜、戦闘中に使えないじゃんか〜」
「お前らサービス良すぎだ」
「……知ってるぞ、戦士」
「な、何を」
「コツコツ作ってた盾、宝箱に入れただろ」
「へ〜?」
「……最初は自分で使う為に作ったんだけどな」
「ふふふ、分かるわよ、その気持ち」
「……頑張ってる冒険者を見てたら、何だか、昔のオレ達を思い出してな」
「ああ、そうなんだよな。応援したくなるんだよ」
「……自分の、子供を見るような、ね」
「僕達を倒しに来てるんだけどね〜」
「グ、ゴ」
「あ、四階まで来た?」
「そろそろだね〜」
「ゴーレム、色々世話になったな」
「ありがと、ゴーちゃん」
「ガ」
「……復活したら、次の勇者……じゃなかった、次の魔王もよろしくな」
「ゴ!」
「さ、そろそろ準備しましょう」
「四天王、手ぇ抜くなよ」
「当たり前だよ〜」
「ここまで辿り着いた奴らに、失礼だからな」
「アタシが仕留めちゃうかもよ?」
「……」「……」「……」「……」
「よし、気合い入れて行くか!」
──────
『はー、回復の泉があって、助かった!』
『本当に。私、魔力ギリギリだった』
『なあ、この宝箱、凄いぞ!』
『わぁ!各種薬草に……ラストエリクサーまで!すっごい豪華ね!』
『……よし、準備万端だな』
『ああ……。ここまで来れば、後は四天王と、魔王だけだろう』
『みんな、覚悟はいい?』
『もちろんだ。必ず、魔王を倒して帰る!』
『……ええ、世界のために』
『平和のために!』
『よし、行こう!!』
──────
「ゴーちゃん、よろしくね〜」
「ガー」
「……来たよ」
『──四天王、覚悟!!』
「ここから先には、行かせないよ〜!!」
「ゴゴゴゴ……グガーーー!!」
──────
「───来た、みたいね」
「ああ」
「戦士、いつも守ってくれて、ありがと」
「オレだって、守られたさ」
「ふふ……さて、子供達の成長を受け止めましょう」
『はぁ、はぁ、みんな、大丈夫か!?』
『ええ、もちろん!』
『かなり強そうだ……気を付けろ!』
「……だいぶ疲れたようね? 弓使いとゴーちゃん、頑張ったわね。────
「容赦はしない。全力でかかって来い!!!」
『やるぞ、みんな!!!』
──────
───みんなの気配が、消えた。
あと僕一人か。長かったな……。
僕は勇者になるために生まれてきた、と思ってた。魔王として死ぬため、だったのか?
──── いや、僕はちゃんと勇者になったし、次の勇者を作るんだ……。
────来た、か。
───ギ、ギギギ……
『……魔王!!!』
「よく来たな、勇者。……待ちかねたぞ!!!」
────世界に平和が訪れた。
人々は歓喜し、勇者を褒め称えた。
勇者一行は、王様から沢山の褒美を貰い、それぞれの場所へ帰って行った。
誰もがこれからの幸せを疑わず、この平和が永く続くことを願って───。
〜fin.〜
〜おまけ〜
「────死んだのかな……? ここ、どこだろう……」
「お疲れ様でした」
「!……大賢者!?」
「皆さんもあちらにいらっしゃいますよ」
「おー、魔王!」
「もう、魔王じゃないんじゃない〜?」
「そうね、また、勇者って呼びましょう」
「久しぶり!勇者!」
「うお!?……僧侶!?──イヤイヤイヤ、ここ、どこ!?皆、死んだんじゃないの!?」
「死んだわよ」
「おもいっきりな」
「ここは、天国だよね〜?」
「そうですね。皆さんが“天国”とか“天界”とか呼ぶ場所です」
「……」
「他に質問はありますか?」
「大賢者は何でここに居るんだ?」
「私はもともと、ここの住人ですから」
「え〜っと〜、神様?」
「神様はいらっしゃいますが、私ではありません」
「え!居るの、神様!?」
「もちろんです」
「会えるのかしら?」
「会えますよ。頑張れば」
「頑張れば?」
「神様にお会いになって、試練を乗り越えれば、元の世界で生まれ変われます」
「えーーー!!」
「簡単ではないですよ」
「どうするの?」
「……コホン。──じゃじゃーん。挑戦!裏ダンジョン!」
「……」「……」「……」「……」「……」
「……コホン。このダンジョンの最終階に、神様がいらっしゃいます」
「……それ、やらなきゃいけないの?」
「いえ。ご自由に」
「あら、アタシやりたいわ」
「え〜」
「……ま、時間はたっぷりありそうだから」
「ね〜、神様に会って、生まれ変わって、また死んだら〜、またココに来るの〜?」
「誰でも来れる訳ではありません」
「でも来れたら、また生まれ変われるんだ?」
「はい。どうぞ。お好きなだけ。何周でも……」
〜おわり〜
魔王消滅、そして ぱぁと @sinzow
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