第2話

深夜2時53分。喉から溢れ出たのは「助けて。」の四文字。愛さなきゃいけないの。

誰を?男を?女を?彼氏を?愛佳を?

体目的?遠距離恋愛なのに?自意識過剰?

「ピル飲んだら大丈夫だよ。」

分かってない。同じじゃない。そんな事言わないで。あの日私を押さえ付けて殺した男と同じだ。

「大丈夫?つらいときは言って」

いい加減にして、分かるわけないって知ってるの、分かってるの。彼氏なんかが、私の心を沈めていく真っ黒いタールに似た底無し沼の感情を知らないことを知ってる。でもはるちゃんなら分かってくれる。今だに別れた彼女と比べてしまうのはどうして。高校が違うだけでこんなに離れると思わなかったの、はるちゃんは私を分かってくれるの、

「私ゆいちゃんのこともう分からないよ」

なんで?

小学6年生のときから仲良しだったよね。はるちゃん。助けてよ。私が抗いようのないひどい暴力に屈して死んでしまいたかったときもはるちゃんは一緒に居てくれたよね、分かってくれたよね、お酒に溺れたときも煙草吸っちゃった時も悲しくなるからやめて欲しいなって否定しないで優しく止めてくれたよね。死にたい。おじいちゃんの家で隔離されてた時も「本当はすぐにでも会いに行きたかったし、迎えに行きたかったの。」って言ってくれたじゃん。殺してよ。本当は呆れてたの?嫌いなの?手首切ってたのも嫌だった?メンヘラなんてカタカナじゃ軽くて精神疾患なんて漢字じゃ重たすぎる中途半端なダッサイ私を受け止めてくれてたんじゃないの?思い込んでたのは私だけだったの?

ねぇ、


なんで


「なんで誰もいないの、」


呟いて顔を上げたら外はもう、青白く明るかった。午前4時2分。今日も多分死なない。

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夏の終わり 五丁目三番地 @dokoka

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