筆者は高校1年生?独創性の高いロジックとトリック

「ロジック」というタグからこの作品にたどりついた。プロフィールによれば、筆者は高校1年生らしい。しょうじきいって世の高校1年生のほとんどは小説を完成させることはおろか、日本語すら怪しい場合がほとんどだ。そんな年少の作者が、「ロジック」というタグをつけて『ロジカル探偵』なんてタイトルの作品を書いている。推理小説の中でも高度な“ロジックを中心に据えたパズラー”を書くと宣言している。
 では、その「ロジック」はどうなのかといえば……、これが、独創性が高くおもしろい。本作はスタンダードなクローズドサークルもののパズラーで、注目すべきロジックが2つ存在している。ひとつは、問題編中の犯人特定のロジックに使われるものだが、「凶器の製作が可能か否か」という観点からアリバイが検証されていて、意表をついたものだ。中盤で公開情報となってしまったのが、残念なほどである。そしてもうひとつは、解決編で明かされる本作のメイントリック。レビュー内では大きく触れることはできないが、奇抜な発想とロジックが絡みあったかなりおもしろいものだ。ぜひ、その目で確かめてもらいたい。
 読む上での注意点があるとすれば、冒頭から英米古典の比ではないほどたくさんの登場人物が出てくること。冒頭1000文字で9人、探偵役の涼介(女子部員の盗撮を行おうとするとんでもない男)と生徒会長の野村以外、際立った個性はないため、登場人物のメモをつくらなければ、読むのに苦労するだろう。ここで挫折されては残念……ということで、勝手ながら登場人物表を作らせてもらった。読むときの参考にしてほしい。

1. 二宮……語り手
2. 西涼介……探偵役。盗撮癖あり
3. 野村達也……生徒会長
4. 福田正夫……野村の幼なじみ。学年トップの成績
5. 森玲奈……学年一の美人
6. 宮本愛弓……玲奈と女子部員のコンビ
7. 遠藤憲一……活字中毒者
8. 木村……資産家の息子
9. 中村……木村の親友