第3話 10月12日 雨、そして静寂
「各地の状況をお知らせ致します。非常に強い台風19号は中心気圧950hpaと強い勢力を保ったまま、本州へ上陸する見込みと見られており…」
その日はとても強い風が吹き、雨というよりは、風呂桶に溜めた水を一気に掛けられているような激しい天候であった。
マーガレットの言う"地球ヤバイわよ"発言を反芻している毎日に嫌気が差し、コンビニでお菓子を買い漁り、自宅の居間で貪りついた。
「だいたいなんであいつなんだよ。あんなに可愛いくて、モテそうなやつが頭のイカれた宇宙人なんて僕は許さない。いや、許されない。」
しかし、マーガレットが言うとおり、この所の異常気象には目を瞑るものがり、少し興が湧いてきているのも事実。
しかし、何をどうすれば…。
「ガシャン!パリン!キン!」
激しく割れた窓に目を向けると漆黒の中からずぶ濡れのマーガレットが険しい目をしてこう告げた。
「6年前のあの日を思い出すなー。ほら、一緒に行こう!賽は投げられた。」
僕はポテチを一枚食べると、動揺を隠す前にこう尋ねた。
「お前、あの時の。一緒に行くってまさか」
間髪入れずに彼女は堰を切る。
「行こう、デュッセルドルフへ」
風速45m/sの土砂降りなど御構い無しで、僕を静寂へと誘った。
デュッセルドルフで花束を @midorikamemushi
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