第9話

「お、お義父さん。はい、わかりました。彩子さんをきっと、いや絶対幸せにします!」

「うむ」

はーっ。安堵のため息をつきたかったが、一生懸命こらえた。

しばらくして、母親が緊迫した空気をほぐすように言った。

「二人とも、そんなに硬くならないで。武さん。娘をどうか、よろしくお願いします」

彩子も言った。

「そうよ、何、二人とも硬くなってんのよ。もう、武さんたら汗びっしょり」

武が、手で汗をぬぐおうとすると、母親が手ぬぐいを持ってきて、武の額をふいた。

その日はクリスマスだった。外には、雪がふっていた。しばらくすると、彩子の家からは笑い声が外にもれていた。その年はホワイトクリスマスだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

承諾 林 風 @hayashifu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る