5.注および引用・参考文献
(1)インタビューにはいくつかの方法論がある。たとえば、構造化インタビュー(structured interview)とは、同一の質問項目をあらかじめ定めておき、複数人に同じ質問を投げかけ、データを得る手法である。逆に、非構造化インタビュー(unstructured interview)とは、質問項目を決めることなく、調査対象者に合わせて自由に回答してもらう手法である。そして、本論で用いる半構造化インタビュー(semi-structured interview)とは、一定の共通質問を決めておき、あとは自由にやりとりができるようにしておく手法である。
(2)たとえば、金沢・王[2031; 2032]と 大黒他[2034; 2035]の研究が挙げられる。
(3)大橋[2035]や左村[2031]、英米圏の研究としてはLipmann[2032]とGarfinkel[2031; 2032]が代表的である。
(4)ただし、Amilcar[2033]は、i3Dのもたらす負の側面を指摘している。
(5)左村[2031、35頁]を参照。
(6)インタビュイー(interviewee)とは、インタビューを受ける人のこと。インタビュワー(interviewer)の対語である。
(7)雪だるま式とは、調査対象者に別の調査対象者を紹介してもらうかたちで、サンプルを増やしていく方法である。いわゆる人づてに聞くことで、雪だるまのようにサンプルを大きくしていくイメージからこの名が採られている。HDSのように調査対象者へのアクセスがひどく制限されていたり、かりにアクセスできたとしても調査を断られてしまうような母集団へのアプローチとして、古くから用いられてきた。量ではなく質データの収集に適している。
(8)ラポールとは、被調査者と調査者との信頼関係を意味しており、それによって得られるデータの質に影響する。調査者に対する信頼感が高ければ、それだけ踏み込んだデータを得やすいからである。ただし、過剰なラポールを形成してしまうと、被調査者から距離がとれなくなってしまうという問題がある。
(9)以下、インタビューにおいて用いられる記号は次のような意味である。
・ =おおむね1秒ほどの沈黙
[]=話の途中で割って入った言葉
? =語尾のイントネーションがあがったこと。
! =語気を強めて発話している箇所。
■ =レコーダーの記録からは判別できない発言
()=言葉のみでは分からない動作の補足
なお「、」や「。」は適宜、迅田の判断によって付されている。
(10)大伴愛「i3D革命の波」『毎朝新聞(全国版)』2028年9月1日1面
(11)ただし、2028年はi3Dの実用化の目処が立った段階であり、その普及には1年以上の時間が必要だったはずである。2030年度の『年次経済報告書』の「通信革命」によれば、ようやくi3Dの日本国内の世帯普及率が50%を越えたところであり、「半年もしないうちに」という理解は誤っていると思われる。
Amilcar, S. [2033]Hidden Dimensions: Inside of i3D, SUNY Press: New York.
Garfinkel, M. [2031] “Finding the Way to Overview of HDS’s Sight in Japanize context”, Mental Health Today, Vo.5, No.2, pp.231-239.
Garfinkel, M. [2032]“From the Scenery of HDS Patients to the Normal”, Mental Health Today, Vo.6, No.3, pp.39-51.
グライト,P.[1991=1998]『論理と会話とお茶菓子と』勁草書房(Studies in the Way of Words and Sweets, Harvard University Press: MA)
金沢雄一・王将兵[2031]「人間不全症候群HDSにおける心因性対人不安の緩和につながるアモキサピンに関する臨床研究」『日本薬学』第5巻第2号、10-15頁。
金沢雄一・王将兵[2032]「人間不全症候群HDSにおける心因性対人不安の緩和につながるテシプールに関する臨床研究」『日本薬学』第6巻第1号、22-24頁。
Lipmann, D.[2032]“Accepting HDSs in Local Communities”, The Journal of Clinical psychology in Asia, Vol.2, No.1, pp.155-178.
内閣府[2030]『令和十年度年次経済財政報告:Society 5.0の失敗とNeo Socialism 2.0の時代に向けて』
大黒真紀・赤坂新太・岩佐義人・野村角[2034]「医薬品開発における臨床試験とリアルワールドデータの相違にかんする分析的研究:HDSを事例として」『薬剤投与免疫学』第24巻第6号、17-28頁
大黒真紀・赤坂新太・岩佐義人・野村角[2035]「医薬品開発におけるリアルワールドデータ活用の成果:HDSを事例として」『薬剤投与免疫学』第25巻第3号、51-68頁。
大橋良一[2035]「心療内科におけるHDS患者の複合的疾患への取り組み」『日本心療医学会』第9号、11-23頁
大伴愛[2028]「i3D革命の波」『毎朝新聞(全国版)』9月1日1面
佐村外郎[2031]「人間不全症候群(HDS)とは何であり、何でないのか:テクノロジーという視覚/死角」『臨床研究』第8巻第1号、32-39頁
謝辞
本インタビューに協力してくれた荒木啓さん、貴重なコメントを寄せてくださった左村外郎さん、そして左村心療内科のみなさん、学外のフィールド調査を快く支えてくださった臨床心理学講座の先生方に、心より感謝いたします。
なお本研究は、科学研究費助成事業基盤研究B「人間不全症候群の治療に向けた臨床心理学的・社会統計学的・文化人類学的アプローチ」(ID: 88119288)の成果の一部です。
人間不全症候群 じんたね @jintane
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