タイトルだけなら「やれやれ系」、「ドタバタ系」にも見えるし、設定だけならチート無双系にも見えるけれど、読み進めれば、そう単純な話でない事がわかります。
本当に「こっちは真剣なんだよ! もういいから、お願いだから、静かに勉強させてくれ……!」と、これはそういう意味のタイトルなのです。
「やーめーろーやーww」ではなく「やめてください(真顔)」なのですね。
ある転生者は「魔王と戦うRPGの世界だ」といい、別の転生者は「逆ハーレムを作れる乙女ゲームの世界だ」という、剣と魔法とスキルの世界。
田舎町のパン屋の娘として生まれた少女が才能を見出だされ、王都の学校へ通うことになります。
人の酷薄さや身勝手さ、嫉妬や裏切り。
いつの間にか巻き込まれている世界の謎。
疲れ、荒み、歪みそうにもなる主人公。
それでも、保護者、友人、可愛い魔物達のお陰もあってか、ギリギリの所で立ち止まり、立ち続けるのです。
入り口は広く、深くまで浸れる。
Web小説の文脈で綴られた良作ライトファンタジーです。
同じ系統の作品には渋み苦味を抑えたとにかく甘いだけの作品もありますが、このお話ではそう言う部分をしっかりと描写した物語が展開されていて、読み進める中でそう言った苦味を感じる事がかなりあります。人の優しさに触れる部分もあれば人の醜い部分に晒される部分もあって味で言えば甘苦いと表現する感じかなあと感じました。
個人としてはもう少し苦味を抑える為にミルクを注いで、砂糖を咥えて甘さを加味して欲しいなと感じる場面もなかったては言えません。ただ敢えて、そう言う渋みや苦味を咥える事でしか出ない味もあると思います。
お話としては成長&成り上がり系なので序盤ほど苦労するだろうし、後ろを支えるものが弱く、挫折やら理不尽をバネに成長していくので余り主人公に感情移入をしすぎると厳しいかもしれません。
とにかく読みやすいです。ネット小説やラノベだと、よくあるへんな描写や齟齬がありません。
あと描写の粒度が丁度よいです。やたら細かかったり、お決まりの展開でクドクド描写されることがありません。非常にサラッとしています。描写すべきところをうまく取捨選択なさっている気がします。
主人公のキャラクターと、描写が良いです。才能豊かで将来性があるが、経験に乏しいことを感じられます。大人びていますが子供でもある、そんな印象も感じられます。
私が1番気に入っているのは、主人公と他者の会話の自然さです。なんというか。。。非常にうまいですね。。笑
語彙力がないので下手くそな感想で大変申し訳ない笑
細部を積み重ねて大きなものを作り上げていくというスタイルで書かれています。ストーリーもだし、心理も繊細で丁寧です。
読んだ人がみな思うだろうことは、やはりネガティブな出来事、ムードが多すぎるなあってことだとおもいます。
でも完結までいくと評価や印象は変わるかもしれないので大局でみるべき作品かなあと感じます。
世界観やキャラクターはジャンルとしてはラノベですが、おもしろい!楽しい!というかんじではなく、どちらかというと人間とは?みたいなものがベースに強くあるので文芸とかに属しがちなテーマの感覚がないと途中まで読んでいてキツいとかツラくなるので注意が必要です。
作者さんの文章力は作家として成り立つくらいにあるのは間違いないと思うので、この大作を仕上げたあとのネクストステージにも期待できると思います。
しかしながら苦難や不条理を乗り越える希望や前向きさを表現しようとしている意図は感じながらも光が弱く少なすぎる印象は否めず、ダメな国という舞台ではありますが、ある程度の短、中期間隔でのバランスがネガティブに振りすぎな気もします。細部から書かれているので意識したものか作者さんの性向かわからず途中ついていけないと感じる読者も少なくはないでしょうが、とにかく書きたいと思うように書き切って最後まで突き進んでいただきたいです。結末までいってこその作品だと思うので応援しています。
最初この作品を見つけた時は題名からして日常系ファンタジーかなと思って作品詳細やレビューみて結構エグい内容があるとのことで、読みきれるかな....と心配にもなりましたが、異世界側とその起因になる前世界側との絡み合いがとても繊細でしっかりとした構成とそれを繋いでいく文章力も確かなもので素人目から見ると普通に作家いけるレベルだと思いました。
最近はどれも似通っている作品が多いので、このような現実的でむごい描写も、ちゃんと理由が分かる行動もあることが自分にとっては「納得」がある作品だと感じれます。
それにシリアスな話の間にたまに入ってくるほのぼの癒されが、さらに「幸福さ」を際立たせています。
たしかに多少のメンタルはいるかもしれませんが大局を見据えたとても良い作品だと思うので休憩しながらでも是非読み続けていきたいと思います。
長文失礼